前編はこちらから
プロセスはとても大事
18時を過ぎた頃、川の雰囲気が変わった気がした。
モンゴルの夏は日が長い。22時位まで明るかったりする。
何かいる・・・・・・川が一気に生命観に溢れる。
ネズミ型のトップウォーターを上流の方へ投げ、流すような感じでタイメンを誘う。
すると水面からヌッと巨大な頭がゆっくりと姿を現し、それを見た僕は全身に鳥肌が立った。
デカくね?
タイメンは食いつくのがとても下手だ。
もう一度同じコースにルアーを流すと食って来た。
しかし、あまり大きくはなさそうだ。
大して暴れもせず、上がってきたのはさっきより少し大きな70cm位のタイメンだった。
それでも釣れると嬉しくて、顔はニヤついていた。
「オキノジ、プロセスが大事です。少しずつ大きいのを釣って行きましょう。プロセスです」
ゾリグは後ろの方でプロセス、プロセスとうるさい。
「次、行きましょう!!次はメーターを狙ってください。プロセスです」
小うるさいモンゴル人に従いながら真面目にその教えを守る。
その真面目さが実を結んだのか、同じようにルアーを流しながら、アクションを加えた刹那。
バゴッ!!!
明らかにサイズの違う捕食音が鳴り響いた。
竿が重くしなるのを感じとり、合わせを入れた瞬間、タイメンがジャンプをした。
乗った!!!でかい!!!
タイメンは必死にフックを外そうと大ジャンプを繰り返している。
ゾリグはスタッフ達と奇抜な色をしたイモ虫を見つけて遊んでいる。
どうやらタイメンがヒットした事に気が付いていない。
あの野郎!!!
足場の悪い場所でのファイトだった為、苦戦しつつもタイメンは観念し、岸際へ寄ってきた。
でかいな。
計測すると123㎝の大物だ。
ゾリグもプロセスをしっかり守り、良く頑張った!!とか言っちゃってるし。
お前はイモ虫と遊んでただけだけどな!!!
「謎のインセクトが!!!こんな生物見たことない!!!」
お前、仕事しろよwwwww
今回の釣行は失敗かも・・・とか思っていたが運よく釣行初日に自己記録を更新した。
ホッとした。
「オキノジ、まだチャンスはあります・・・次へ行きましょう・・・時間はたっぷりあります」
「はい、先生プロセスは大事ですよね」
嬉しさ余って変なテンションになりながらも再び竿を振りはじめる。
気分が良い。
ゾリグも初日で大物が釣れて安心したのかナルシスト全快で自分の写真を仲間に何枚も撮影させていた。
こいつは一体何がしたいんだ・・・ガイドしにきてくれたのではなかったのか?
釣りを再開してすぐの出来事だった。
竿が再び大きく弧を描いた。
姿は見ないが今まで釣ったタイメンと重みが違う。
絶対にデカい。
フックオフだけ気を付けながら慎重に魚をいなしながら寄せて来ると大きくジャンプした。
ゾリグは尋常じゃないレベルで興奮している。
「プロセスです!!!プロセスです!!落ち着いてください!!!オキノジ落ち着いてください!!!!」
お前が落ち着けよマジでwww
浅瀬に寄った所でゾリグが川に飛び込みタイメンを抱え込む。
でかっ!!!
腹回りも太く、そして重量もかなりの物だ。
計測すると132㎝あった。
やった!!!やったぞ!!!
目標達成だ!!!
うおおお!!!シシケッドに来て良かったあああ。
捨てる神あれば拾う神あり!!モンゴルよ!!ありがとう。
コンゴが行けなくなり、悲惨な思いをしたが、どうにかモンゴルで逆転できた。
もう、満足、今夜は宴会だ!!!!!
今夜はお祝いも兼ねて豪勢にやるらしく、ゾリグは腕によりをかけて作ると張り切っている。
スペアリブ、ジンギスカン、羊スープと羊づくしだが、新鮮な羊は臭みもなく美味い。
でもな、美味いんだけど夕食が深夜1時ってのは流石にキツイ。
やっぱり料理作れるオバちゃんを連れてきた方が良かったと思う。
ゾリグもそれは感じていたようで、「オキノジだから良いけど、普通のお客さんだったらヤバかった」だって。
俺はお前の何なんだよ!ちゃんとしろよ!!!
あと7日もキャンプ生活を送るのかと思うと正直、嫌になってきた。
何故なら目標を達成してしまい、モチベーションを保てる自信が無い。
さらにデカいのを狙うしかないな・・・。
起床後、すぐに支度を整え次のポイントへ向かう。
僕の手には昨日のタイメンと対峙した余韻が未だに残っており、あれは最高の一日だった。
今朝も天気は良く、絶好の釣り日和になりそうな予感がする。
ラフティングで下っている最中も良いポイントがいくつも点在しており、ボートを止めて探るも、反応は無い。
秘境なのだから一匹くらい出てくれても良いものだが、怪物はなかなか姿を現さない。
釣りもそこそこに移動したので今晩のキャンプ地に予定より随分と早く到着した。
ゾリグ曰く、このポイントは良いらしい。
「目の前のプールが凄く良いです!とりあえず、今晩の夕食を釣ってください」
小指サイズのミノーでグレイリングが面白いように釣れる。
ジャンプを幾度となく繰り返し、釣っていて面白い。
ゾリグ達もそれを見て一緒になって釣りをする
イボ痔になる
このあたりから肛門辺りに違和感を感じるようになる。
例えるならお尻の拭き忘れのような不快感。
最初は漏らしたか?とか思っていたがそうでもなさそうだ。
次第に不快感から痛みに変わった。
嫌な予感しかしない。
皆が釣りをする中、そっとテントに戻り肛門の辺りを恐る恐る指で探る。
アッー!!!
飛び上がるような激痛が走った。
肛門に小指サイズの突起物が出来ているではないか!?
これはまさか・・・・・どうみてもイボ痔です。
こんな所で初イボ痔になるなんて!!!
一体、何が原因でイボ痔なんかに!?
連日の慣れない大移動で遂にお尻がギブアップしたのだろうか。
薬もないし、治す手段がない。
応急処置として持っていたオロナインを肛門に塗りたくり何食わぬ顔でテントから出た。
でも歩くだけでヒリヒリして痛い。
しかもオロナイン塗り過ぎて気持ち悪いwww
テンションガタ落ちだ。
釣りを再開するも、どうやら様子がおかしかったようで、ゾリグに指摘される始末である。
夕方になり、タイメンタイムの時間が訪れる。
流れの強いポイントへ入り、タイメンが出てくるのを待った。
しかし、尻が痛くて釣りに集中できない。
お陰で目の前まで追いかけてきたタイメンを釣り損ねた。
結局、タイメンを釣る事も出来ず、夕方の釣りも終了した。
ゾリグが腕を振るった羊料理もイボ痔のショックで食欲が出ない。
「オキノジ、食べて食べて」
あまり食欲が無いと告げるも、食べて食べての一点張りで仕方なく食べると美味いから食欲は回復したwwww
食後はナイトフィッシングをしろと言うので一人でテントの周辺で釣りを開始。
しかし当たりなど無く、来る気配は一向にない。
ゾリグは遊牧民達との会話に夢中になり、持参したビールはどんどん空になっていった。俺の事などお構いなしだ。
巨大タイメン
テント前が全く釣れず、上流の流れ込みのあるポイントへと移動することにした。
「オキノジ!そっちは釣れないし危ないからテント前で釣りしなさい!」
上流の方へは行かないと言う約束で許可をもらい、流れ込みの手前で釣りを開始した。
本流の脇に出来る弛みにトップウォーターを流してゆっくりと誘っていると70㎝の良型のレノックが釣れた。
レノックってトップウォーターに出るんだな。
何となく、このポイントでならタイメンが釣れるような気がした。
肛門の激痛を必死に耐えながら必死にルアーを投げ続けた。
歩くたびに激痛が走り、これは駄目なレベルじゃwww
それでも苦労して此処まで来たわけで、ここで引き下がれば男が廃る。
もう少し、もう少しだけ踏ん張ろう。
そうだ、苦しみを和らげる為に何か歌でも歌おう。
「恋する~フォーチューンクッキー~~♪」(当時流行っていた)
サビしか分からないので同じフレーズを何度も何度も繰り返す。
その間、ルアー目がけてタイメンと思われるアタックがあるものの、食うまでには至っていなかった。
新月の為、辺りは暗闇で何があるのか分からない状態だ。
分かるのは目の前に河が流れている事だけだ。
とりあえず一匹釣ろう。
そして24時を過ぎた頃、ようやくメーターサイズを釣り上げる事が出来た。
しかし、前日の巨大タイメンを目の当たりにしているゾリグは興味なさげだ。
「はいはい、小さいから早く逃がしましましょうね。写真なんて撮らないでいいよwww」
扱い雑すぎやぞ!!!
「次頑張ってねー」と言葉を残し、たき火の前へ戻って行った。
この時、気温は10度を下回っていた。
一匹目のタイメンを釣り上げてから深夜2時を過ぎていた。
「そろそろ寝るか・・・・・・」
しかし、釣れそうな予感が捨てきれない。
暗闇で何も見えないが、何かが潜んでいる。
そんな気配を感じた。
良い意味で緊張感があり、全神経をルアーに集中させる。
「恋する~フォーチュンクッキー♪」
まだまだ集中が足りないようだ。
どうやらこの歌に嵌ってしまったようだ。
歌に合わせてルアーにアクションを付けてみる。
Hey(シャッ)HeyHey(シャシャッ)HeyHeyHey!!!(シャシャシャーッ)
みたいな感じ。
こんなんで釣れるわけがwwwwww
「ズボッ」
キタアアアアアア!!!
まじで来た。
岸に寄せようとするも、一向に動こうとせず、まるで流木を釣っているようだ。
不気味ささえ感じる。
逆に少しずつラインが出されているのが分かる。
「ゾリーグ!!!」
一人じゃラインディングが無理だと感じ、ゾリグに応援を頼む。
緊張感のある声にただ事では無いと察知したのか、珍しく小走りで駆け寄ってくるゾリグと遊牧民達
「めちゃデカイめちゃデカイ!!」と叫ぶゾリグ。
そして全員がテンパっている。
ようやくランディングに成功し、計測をすると138cmの鬼タイメン。
遂に此処まで来た、完全にやりきった。
やりきったぞおおおおおおお!!!!!
正直、釣り上げた後の記憶をあまり覚えていない。
気が付いた時にはびしょ濡れになって焚き火の前で酒を飲んでいた。
もう思い残すことは何もない。
モンゴル釣行の円は閉じられた。
まさか巨大タイメンが釣れてしまうとは・・・・・・。
痔効果なのか?
痔様ありがとうごぜえます。
早々に目標を達成し、もう思い残すことは何も無かった。
「ミッションはコンプリートしたから帰ろう」
そう告げるとゾリグは最終ポイントまで行こうと提案してきた。
ゾリグよ、人の話を聞いてる?もう満足したので帰りたいですwww肛門痛いですwww
「俺はそこで150cmを釣った。日本人は最終ポイントへ行けた人まだいません」
そう言われたら行くしかねえな150㎝取るしかねえ!!!!
最終ポイントへ向け、僕らはボートを漕ぎだす。
しかしその道のりはきつかった。
波が激しく、幾度となく転覆しそうになり、倒木にぶつかりそうになったりで気の抜けない時間が続いた。
途中、休憩で濡れた服を乾かそうと衣類を脱ぐと蚊の大群が襲ってくる。
奥地に行くほど蚊の量が凄まじい。
ゾリグは衣類を脱いだ瞬間に数十匹の蚊から一斉攻撃を受けていた。
僕は衣類を乾かすのを止め、ずぶ濡れのまま耐えることにした。
刺されるよりは濡れている方がまだマシだ・・・。
顔の周りをブンブンと飛び回り、本当に厄介で心が折れそうになる。
たしか行く前は蚊とか少ししかいないと言っていた気がするが・・・。
いるとかのレベルじゃない、ホラーの世界だわwww
鬼居るわwww
激流を30kmほど下り、ようやく最終ポイントまで辿り着くことが出来た。
そこは棚田のようになった流れ込みがいくつも点在し、何処にでも潜んで居そうな雰囲気がある。
これは釣れそうな感じだ!!!
瀬、落ち込み、岩の間のポケットなど潜んでいそうな場所にルアーを打ち込むが反応はなかった。
ルアーを小型の物に変更し、生命反応を探る。
するとレノックは一投一匹のペースで60cm~70cmの良型がヒットした。
しばらく場を休ませ、夜が来るのを待ってから大物を狙う事にした。
焦る必要はない、時間はたっぷりすぎるほどある。
釣ったレノックを夕食にし、皆で食べる。
ここで重大な問題が発生する。
3日目にして酒とジュースは底を付きかけ、残りの物資が野菜と羊肉が少しとなっていた。
おいおい、まだ3日目だぞ?
ビールもジュースもなくなるの早くないか?
「全て計算通りです、川の水があるから大丈夫です」
ドヤ顔で言うゾリグ。
うざい、うざすぎる。
お前が一番消費してるんだからな!!!
案の定、消費ペースが速いと思ったのか酒の回し飲みをしだすゾリグ。
お前なんなんwww言った通りじゃねえかwww
イラつく気持ちを抑え込み、夜釣りに向かう。
今回のポイントは流れも早くウェーダーを履き、腰くらいまで浸かりながら釣りをするので流石に真っ暗闇の川の中はちょっと怖かった。
いくら投げても川は沈黙を守っていた。
待っているゾリグ達も暇になったのか薪を集めだし、巨大キャンプファイヤーを始めだす。
薪を集めすぎたのか炎が大きすぎて辺り一面が明るくなる。
そして大声で話しだす。
まじでタイメン逃げるからやめろwww
最奥地に到着して3日が過ぎようとしていた。
求めている巨大タイメンは姿を現す気配はない。
一度だけ真夜中に大きな当たりがあったが、釣り上げる事は出来なかった。
コンディション的には悪く無いはずなのだが、釣り方が良くないのか?
ゾリグ曰く、今年はまだ暑いからタイメンの活性が良くないらしい。
一番良いのは10月で冬支度前の爆食モードのタイメンは面白いように釣れると言われた。
ほんとかよ。
大分前に9月が凄く良いって前に聞いた覚えがあるぞ。
数日お勧めの最奥地で粘ってみるも良い結果を残す事ができず、引き返す事になった。
ベースロッジに戻るまで4日間も掛かるらしい。
遠すぎだろwww4日も掛かるの?
荷造りを済ませ、雑木林に待機させている馬に乗りベースロッジへ向け出発する。
乗馬初心者の僕にはかなり難易度の高い移動手段だ。
馬は躊躇なく急勾配な場所を登ったり下ったり、いつ振り落とされるかと思うと生きた心地がしない。
朝から晩まで馬に乗り、いくつもの山を越えた。
いつしか馬の扱いにも慣れ、一人で難なく扱えるレベルにまで上達していた。
モンゴルに初めて来た時から苦節5年、ようやく馬に乗れるようになり感慨深い。
食料は底を尽き、群生しているブルーベリーを集め、魚を釣り、食料を確保した。
最奥地から出発して2日目、事件が起きる。
何故かヘラジカを釣る
138㎝を釣った場所まで戻ってきた僕らはベースキャンプを設営し、川を見ながら寛いでいると遊牧民の一人がライフルを片手に山へ入っていった。
ゾリグに聞くと熊がよく出没するポイントが近いようで見回りをしてくるという。
それから数時間経っても帰ってくる気配はなく、彼の事はすっかり忘れ小型タイメンを小さなルアーで釣って遊んでいたら息を切らせて帰ってきた。
なにやら興奮気味にゾリグに話している。
「オキノジ出番です。」
言っている意味が分からない。
山の中にある湖へ行くとヘラジカが湖面に浮いているらしく、自分で泳げないから釣って欲しいと言う事らしい。
大丈夫なのそれ?ヘラジカってめちゃでかくね?釣れるの?
突っ込み処がかなり多いが、とりあえず僕らは遊牧民がヘラジカが浮いているという湖まで徒歩で向かった。蚊の猛攻に耐えながら山の中を2時間歩き続けると、そこには開けた空間の中に湖があった。
遊牧民が指さす方へ眼を向けると、デカい何かが水面に浮いていた。
「あのヘラジカを釣って下さい。釣れなかったら私たちが此処へ来た意味がなくなります。さあ早く」
ムチャ振りなんですけどwwwww
そもそも届くかどうかも分からないし、200~300kgあるような生物を引っかけて釣ることが出来るのだろうか。
疑問は多く残るがここは釣るしかない。
ヘラジカめがけてキャストするも届かない。
リールの回転率を上げ、何度も試行錯誤しながらキャストする事30分、ルアーがヘラジカの身体を超えて着水した。ゾリグと遊牧民は歓喜している。
慎重にルアーをヘラジカに乗せフックが身体に刺さるようにフッキングをした。
なんとかフックはヘラジカの身体に刺さったものの重すぎて岸に寄ってこない。
力任せで寄せてしまうとラインが切れてしまう。
逸る気持ちを抑え、慎重に寄せる。
日が暮れ、周りは蚊だらけで集中力が欠かれる。
早く回収してこの場から逃げ去りたい・・・・・。
どうにか岸まで寄ってきたヘラジカを皆で引っ張り上げた。
これだけでもかなりの達成感だ。
皆で写真を撮影し解体にはいる。
巨大すぎて全ての部位は持ち運べないので臓物を中心に各自分担して持ち、キャンプへ持ち帰ることにした。
肉部分は血を抜き冷たい湖に沈め、あとで回収することになった。
食料も底を尽いていたし、数日ぶりの肉に心躍る。
湖を発って2時間が過ぎたが、一向にキャンプに着く気配がない。というか山の中を進んだり戻ったりしえるような感じがするのは僕だけか?
あとどれ位で到着するのかとゾリグに聞くと「たぶん道に迷いました」と返答された。
wwwwwwwwwww
どうやら遭難したようだ。
誰一人取り乱す事はなく、朝になれば解決するだろうと思ってる。
朝まで歩き続けるの嫌なんだがwwww色々あり過ぎて逆に笑えてくる。
幸いにも途中で道が分かり、4時間かけてキャンプ地へ帰る事に成功した。
くっそ疲れたwwwwもう嫌wwwwイボ痔も痛いし、もう寝たいwwww
しかしモンゴル人の洗礼は甘くなく、荷下ろしを済ませるとヘラジカの調理に取り掛かった。お前らどんだけ体力あんのwwwたくましすぎwww明日で良いよ明日肉食べようやwwww
「新鮮な臓物が食べられなくなります。勿体ないので急いで食べましょう」
そして調理は明け方近くまで続き、朝食として肉を食べ終わると、流石に皆疲れていたようで眠りに付き起きたら夕方だった。
こうして移動が一日延びる事となったのである・・・・・。
翌朝、早朝から出発し遅れた距離を取り戻そうと移動を始めたが、次第に雲行きが怪しくなる。雷が鳴りだしたと思ったら大粒の雨が降る。
マジでやばい。気温も下がりかなり寒く身体が強張る。
皆が疲労困憊でベースキャンプまでは後15㎞の所まで来ていたが、今夜は近くに建っていたチェコ人が運営しているフィッシングロッジを借りれる事になり、ここで一夜を過ごす事となった。残りの食糧も完全に尽き、ジャムをお湯に溶かして皆で回し飲みした。
色々ヤバすぎると思いながらロッジで過ごしていると若い遊牧民がバイクに乗って大量のビールとウォッカ、サーロ(塩漬けした豚の背油)を持って現れた。
「若い衆をベースキャンプまで走らせて調達させてきました。今夜はウォッカパーティです」
いっその事ベースキャンプに全員で戻った方が良かったのでは・・・。
その夜は盛大に飲み明かし、皆酔って陽気になり、歌ったり踊ったりと楽しいひと時を過ごす事が出来たのだが、翌朝目が覚めるとテーブル、床のあちこちで飲み過ぎた代償というかゲロが散乱していた。そしてゾリグは外でダウンしていた。
二日酔いの中、ゲロまみれの部屋を掃除し、借りたロッジを後にする。
馬に乗っている間も気持ちが悪くて何度か吐いた。完全に飲み過ぎである。
ようやく最初のベースロッジに到着した。
しかし行くのも帰るのも一苦労だったなwww
それでも貴重な経験が出来たしかなり楽しめた。
念願の巨大タイメンも釣る事が出来たし、一応馬もマスターしたしね。
明日はムルンへ戻り、国内線でウランバートルへ行く。
次回に続く・・・