ゼニタナゴに逢いに行こう(秋田県)

ゼニタナゴに逢いに行こう(秋田県)

魚類に留まらず両性爬虫類から昆虫まで探して国内外を旅する 嬉し恥ずかしの51歳。福岡県出身・おうし座。

紅葉と食欲の秋。前回のカネヒラの記事でご紹介したように、秋に婚姻色を魅せてくれる3種のタナゴ達。イタセンパラは、1974年に日本国指定の天然記念物に指定されており採取禁止。3種の秋タナゴ、間地かで観察可能なゼニタナゴの婚姻色を、ご覧いただこうと思う。

秋の風景、ゼニタナゴ釣り。


カネヒラの記事はこちら

 

 

ゼニタナゴとは

ゼニタナゴ

生息域は東北が中心。鱗が非常に細かく、淵が黒くやすりの様にみえる。その為、地方によってはヤスリメと呼ばれる事もある。現在は、東北地方でも限定された場所にのみ生息し、採取可能のタナゴの中では、最も絶滅に近い種の一つと考えられる。比較的流れが少ない場所で、池や水路などに生息する。体長は最大で11㎝とされるが、大型の個体には中々出会うことはない。

雄の婚姻色は、他のタナゴに比べると比較的控えめ。鰓蓋から腹部にかけて、美しい桃色に染まる。そこが燻銀な感じで、日本人好み。タナゴマニアのハートも、鷲づかみにしているとか。
雌はカラスガイ、ドブガイ、イシガイの二枚貝を好んで9月~11月に産卵を行う。

カラスガイ。ゼニタナゴが産卵を行う二枚貝。今回の釣行の際に採取したカラスガイ

 

ドブガイ。ゼニタナゴが産卵を行う二枚貝。ゼニタナゴ生息域近郊で採取した二枚貝。ドブガイと思われる。

 

イシガイ。ゼニタナゴが産卵を行う二枚貝。カネヒラの生息地で採取したイシガイ。ゼニタナゴもまた、この貝に産卵を行う。

 


ゼニタナゴを釣ろう

ゼニタナゴ釣行。秋田県今回の釣行は秋田県。詳しい場所は伏せさせていただく。関東を夕方出発。仮眠をとりながら北へ北へと走り、到着したのは明け方前、明るくなるまで再び仮眠をとった。

 

LEDランプ。ゼニタナゴ釣行。秋田県BRECOLより発売予定の、LEDランタン。
White/ Black /Army green の三色。
暖かくフィールドを照らし出す、癒しの灯。

 

LEDランプ。ゼニタナゴ釣行。秋田県こちらも同時発売のLEDランタン。
大きなランプで存在感抜群。レトロな雰囲気がフィールドに映える。


薄っすらと明るくなり始めた、今回のフィールド。池の底からは非常に綺麗な水が湧きだし、小さな池を満たす。池から流れ出る水は土側溝へと続き、多くの両生類や昆虫たちの命を育んでいる。

ゼニタナゴ釣行。秋田県の風景ゼニタナゴ釣行。秋田県の風景

土側溝横を歩くと、溝を覆うように芹が生茂り、そして私の歩みにあわせて素早くアカガエルがその茂みに逃げ込む。素晴らしい自然が残ったポイントだ。
池の淵から覗き込むと、池底には無数のカラスガイの姿がみられ、その貝の周辺を泳ぎ回る小さな魚が確認できる。ゼニタナゴだ。

ゼニタナゴ釣行。秋田県の風景ゼニタナゴ釣行。秋田県の風景ゼニタナゴ釣行。秋田県の風景

多少オーバースペックだが、前回のカネヒラの際の仕掛けと竿。エサを黄身練りにして、そっと杭の周りに竿を出す。この池は凄い。幻のタナゴとも言われる事もあるゼニタナゴが、一投一匹の乱舞&乱舞。たまにモツゴが釣れるくらいで、1時間もしないうちに十二分の釣果が得られる。婚姻色の出ている雄と、卵管の立派な雌のみをバケツに残して、速やかに池に戻していく。



 
釣れたゼニタナゴを観察しよう。

先ずは、燻銀の雄の婚姻色をご覧いただきたい。

ゼニタナゴ釣行。ゼニタナゴ雄の婚姻色。


ゼニタナゴ釣行。ゼニタナゴ雄の婚姻色。しっかりと婚姻色はでている。背鰭に観られる黒い斑紋も、他のタナゴに観られない特徴。

ゼニタナゴ釣行。ゼニタナゴ雄の婚姻色。ゼニタナゴの背鰭。背鰭分岐軟条数は10本もしくは11本だ。

ゼニタナゴ釣行。ゼニタナゴ雄の婚姻色。口元に、ほんの僅かに追星がみられる。婚姻色だけじゃなく、追星もまた控えめだ。口元に髭はない。

ゼニタナゴ釣行。ゼニタナゴ雄の婚姻色。釣り上げた直後としばらく時間が経過した後や、カメラを向ける角度で色合いが大きく変わるゼニタナゴ達。釣ってすぐのゼニタナゴは非常に美しく、宝石の様である。写真では伝わらない美があるので、是非実物を観ていただきたいもの。


続いて雌。美しい卵管をご覧あれ。

ゼニタナゴ釣行。ゼニタナゴ雌の卵管ゼニタナゴ釣行。ゼニタナゴ雌の卵管ゼニタナゴ釣行。ゼニタナゴ雌の卵管ゼニタナゴ釣行。ゼニタナゴ雌の卵管雌の腹部は張っており、産卵まもなくと言ったところであろうか。この生息地であれば、カラスガイの生息数も非常に多く、水質も非常に良い。繁殖に適していると思われる。

元気な稚魚が沢山生まれますように。
そう願いながら、弾丸秋田のゼニタナゴ釣行を終える。
走行時間往復13時間で、釣行時間は僅か1時間半。ちっとも秋田グルメを楽しむ時間もなく、帰宅するのであった。

 

キタノアカヒレタビラの婚姻色。ゼニタナゴ釣行。こちらも秋田を中心として、東北地方に生息するキタノアカヒレタビラ。春の婚姻色がド派手で美しい。次回の秋田釣行こそは、春の味覚を満喫したいものだ。

 

*現在、法律により、秋田県安本自然環境保全地域における、ゼニタナゴ、キタノアカヒレタビラ、イシガイ目貝類の捕獲は禁止になっております。違反すると、厳しく罰せられますので、くれぐれも釣行前に詳しく調べてから採取を行ってください。

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