日本に生息するタナゴの仲間は18種類。2種の外来タナゴを除くと在来種最大の大きさを誇るカネヒラ。秋に美しい婚姻色を魅せてくれるゼニタナゴ・イタセンパラ(採取禁止)・カネヒラの三種をしばしば秋タナゴと呼ぶが、今回は秋も深まり始めた恋の花咲く水路にカネヒラを探し、恋路を邪魔して馬に蹴られないように注意しながら、竿を出すこととした。
カネヒラとは
福岡県で釣獲したカネヒラ。婚姻色MAXの色気づいた個体。
産卵期は9月~11月に訪れるが、雄に観られる婚姻色は写真の様に体表上部はエメラルドグリーンに、吻から頭部と腹部は黒く、背ビレ・腹ビレ・臀鰭ビレはピンク色に染まる。
上記したように在来タナゴ最大種。体長は12㎝~15㎝程にまでなる。ほぼ小さめの鮒の大きさである。雄に関していえば、タナゴ業界一番の巨体を誇る勇ましいおっさんがピンクのひらひらドレスを着て恋路を彷徨うという。想像するとかなりのインパクトがある。
カネヒラ雌の卵管。
雌は二枚貝内部に卵管を伸ばし産卵を行い、雄がその卵に精子を掛ける形で受精します。
元々濃尾平野以南に生息していた彼らだが、琵琶湖産の鮎の放流に混じり北日本各地に生息域を広げたとされている。事実、今回の爆釣劇の舞台も宮城県である。比較的環境変化に強いカネヒラ。他の在来タナゴへの影響など国内外来種として問題視される一面もある。
今回のポイントで採取した二枚貝。イシガイだろうか。
カネヒラが産卵を好んで行う二枚貝はイシガイがメインになります。イシガイの生息域は北海道から九州まで。移入されたカネヒラ達もこのイシガイが生息していれば、その土地で繁殖して数を増やしていくことが可能となる訳です。
カネヒラを釣ろう
周囲は実りの秋、稲穂が垂れるこの時期。本日も謙虚に竿を出したいと思います。釣れろ!いや、釣れてください。
タナゴ釣りはポイント探しが重要。特にカネヒラはポイントが見つかれば高確率で数匹は釣れると思われる。雨による増水で激濁りや子供達の投石でポイントが大荒れ等の想定外のアクシデントさえなければの話だが….
僕の様なにわかのタナゴ釣り師なら仕掛けは凝ったものは不要。オーナーばりより発売されているたなご浮子仕掛を使用する。
餌は定番のアカムシ。カネヒラは藻を好んで食べる時期もある様で黄身練りやグルテンも用意しておくと良いかもしれない。
そして少々宣伝を….
竿はBRECOLより来春発売予定のTENKARA2.7。テンカラのみならずありとあらゆる小物釣りに適しています。そして、来春発売予定のアウトドア・チェアー。コンパクトに収納バックに入り、持ち運び簡単。フィールドに落ち着く色合いに仕上がっております。
いくつかのポイントを観て回り、一番魚が溜まっていそうな流れ込みのポイントに先行者の方と挨拶を交わし、釣り座を確保。
川を覗くと沢山小魚達の姿が観ることができる。
一番良さそうな深みのある流れ込み。小魚が平打ちしており、爆釣の予感しかしない。
先行者は既に数匹のカネヒラを釣っていた。私も早速アカムシを釣り針に通し、そっと深みに仕掛けを入れる….
いとも呆気なく釣れた。銀輪が美しいカネヒラの雌だ。その後も一投一匹の爆釣劇が続く。
先ずは美しい銀輪の雌。口元には一対の髭。体高も高く約10㎝の我がままナイスボディだ。
背ビレの棘の様に観られるものを背鰭不分岐軟条という。しばしばこの本数でタナゴの種類を見分けるがカネヒラの場合11本から14本とされる。
細かく美しい銀鱗。耳の役割に似た器官側線が中央部に一対。
産卵期が近いのか釣り上げた全ての雌に伸びた卵管を観察できた。
続いて雄のカネヒラ。
浮きが小刻みに沈む。竿をたて抜き上げると美しい婚姻色が秋の澄んだ空に美しく舞い続ける。
釣りあげた雄たち。
婚姻色8分咲きと言ったところであろうか。それでも、尚、美しい。
一部の雄の口元にはこれまた雄の産卵期に観ることができる追星が観察できた。
短時間で十分な釣果に満足し、そして納竿となった。
次回はもう一種の秋タナゴである、ゼニタナゴの婚姻色を探しに秋田県まで足を伸ばしてみようと思う。
いぶりがっこ、きりたんぽ鍋に新鮮な海産物食欲をそそる。
どうやら僕は色気より食い気の方を優先する年頃の様であり、婚姻色は終わりかけているようだ….