スボカキ漁・干潟のエイリアン・ワラスボを捕らえよ(佐賀県・有明海)

スボカキ漁・干潟のエイリアン・ワラスボを捕らえよ(佐賀県・有明海)

魚類だけに留まらず、両性爬虫類・鳥類・哺乳類・昆虫まで追い求めるマルチなFielder。好きな食べ物はお米。血液型B型のおうし座。

ワラスボをスボガキで捕獲する。有明海干潟。何処までも広がる壮大な干潟。ここは日本最大の干潟を有する有明海。
干満差は6m程もあり。干潮時に広がる干潟は岸から5㎞ほど先まで広がる。有明海とその流入河川の多さは素晴らしい環境をつくり、多くの生き物に恩恵を与え、そして有明海の固有種達を生み出した。

 

ワラスボをスボガキで捕獲する。有明海干潟。クロツラヘラサギ。干潮時の干潟にも多くの生き物達が姿をみせ、また、彼らを捕食しようとサギや猛禽類など多くの鳥類もやってくる。写真は非常に個性的なくちばしを持つクロツラヘラサギ。

BRECOLではシオマネキVSムツゴロウやワラスボ釣りを以前紹介させていただいたが、そんな有明海においても飛び切り個性的な魚・ワラスボについて再び取り上げさせていただこうと思う。
今回は伝統漁法『スボカキ』での捕獲に挑むこととしてみよう。

 



干潟のエイリアン・ワラスボとは

ワラスボをスボガキで捕獲する。ハゼの仲間であり、国内では有明海のみに生息する。目や鱗は退化しており体長は40㎝前後程になるウナギやアナゴの様に細長い体形。干潮時は干潟の巣穴に隠れ、干潟が海水に覆われると巣穴から出て海中に姿を現し、小魚・甲殻類・小さな貝類等を獰猛に捕食する肉食の食性。
その独特の容姿は映画にでてくる『エイリアン』に似ているとメディアに何度も取り上げられたが、映画監督リドリー・スコット氏が佐賀県の出身であったか否かは定かでない。

 

 

スボカキ体験・道の駅鹿島

堤防からの釣りでも何度か釣れた事のあるワラスボ。今回は伝統漁法スボカキで大漁を目論む。伝統漁法と言えば仰々しいが、佐賀県鹿島市の『道の駅鹿島』の干潟体験のメニューとして気軽に挑戦することが可能だ。時期は4月中旬~5月初旬/9月~10月と限定されており、料金は3000円(税込)。詳しくは下記のリンクからご覧いただきたい。

http://michinoekikashima.jp/main/320.html

ワラスボをスボガキで捕獲する。道の駅鹿島・売店。ワラスボの干物一方、道の駅鹿島の売店は新鮮な魚介類・野菜や地酒などが並ぶが、一角にムツゴロウやワラスボの干物等も売られおり必見。ワラスボの干物は1匹500円なので、本日の干潟体験では6匹以上の捕獲でPAYする試算となる。

 

ワラスボをスボガキで捕獲する。体験日は中潮。13時過ぎには早々と干潟が姿をみせはじめた。瞬く間に岸近くの海水は姿を消し目の前には広大な干潟が姿を現す。

 

ワラスボをスボガキで捕獲する。棚じぶワラスボをスボガキで捕獲する。棚じぶ2枚の写真を見比べていただきたい。僅か10分程であっと言う間に干潟が広がってゆく。因みに写真でご覧いただける小屋は『棚じぶ』と言い小屋に設置された網で魚を掬いとる漁法を行う小屋。こちらも道の駅鹿島で体験可能だ。

 

ワラスボをスボガキで捕獲する。さて、スボカキの開始だ。受付で3000円を支払い、ゴム足袋、ゴム手袋、膝サポーターをお借りして装着。押板、所謂、潟スキーを使い干潟に乗り出そう。潟スキーには捕獲したワラスボを入れる籠とワラスボを捕獲するための道具『スボカキ』を忘れることなかれ。因みに広大な干潟は潟スキーヤーの体力を著しく奪っていくため、春・秋と言っても水分補給は必要です。


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ワラスボをスボガキで捕獲する。ワラスボをスボガキで捕獲する。ワラスボをスボガキで捕獲する。ワラスボをスボガキで捕獲する。押板を足で押し出すように漕いでいきます。漕いではスボカキで干潟をかき、漕いではかきを繰り返していきます。

 

ワラスボをスボガキで捕獲する。ワラスボをスボガキで捕獲する。ワラスボをスボガキで捕獲する。ワラスボは海水がなくなると干潟の泥の巣穴に隠れます。干潟に無数に点在する穴の中でも穴の淵に泥がこんもりと積まれた穴にワラスボが潜んでいる確率が高いとの事。とは言え、中々そんな穴が見つからず闇雲に無数に開く穴をスボカキでかいて行きます。こうなるとスボカキのコツは体力と根気と根性です。

泥をひたすらかいているとスボカキの先端に違和感のある重みを感じます。じわじわとスボカキをかき上げると先端にワラスボが泥の中から抜きあがってきます。ワラスボだけでなく時には同じく泥の穴に隠れていたムツゴロウも抜きあがってきます。


ワラスボをスボガキで捕獲する。ワラスボをスボガキで捕獲する。ワラスボをスボガキで捕獲する。それを繰り返すこと3時間。押板は疲労困憊&泥だらけになった僕、ワラスボ、ムツゴロウを乗せ、難破船の様に岸にたどり着いた。

 

ワラスボをスボガキで捕獲する。ワラスボをスボガキで捕獲する。3時間の楽しい苦行で勿論、服は泥だらけ。先ずはホースの水で泥を落とし、管理事務所脇のシャワールームでしっかり身体を洗って着替えよう。

 

ワラスボをスボガキで捕獲する。干潟体験は潟スキー・棚じぶ・ムツ掛け等メニューが豊富。ただ泥まみれを楽しみたいと言う海外のお客様や子供達もいたりする様だ。

 

 

ワラスボの細部を観察しよう

ワラスボをスボガキで捕獲する。ワラスボ頭部。ワラスボをスボガキで捕獲する。ワラスボ頭部。先ずはワラスボの頭部。写真の様に歯は透けており細かくそれなりに鋭い。非常に攻撃的に噛んでくるが怪我をするほどではなく、男の子も女の子も嚙まれても泣かない程度だ。また、目は退化しており、つぶら過ぎる瞳。

 

ワラスボをスボガキで捕獲する。ワラスボ頭部。ハゼの特徴である腹鰭の吸盤形状。この吸盤状の腹鰭で石や海底などに張り付き、流されないようにすることができるという優れものだ。

 

ワラスボをスボガキで捕獲する。ワラスボ頭部。ワラスボをスボガキで捕獲する。ワラスボ頭部。背鰭・尻鰭は体表に長く観られる。尾鰭はハゼの仲間らしい形状でマハゼや有明海のハゼクチなどに似る。

 



ワラスボを食べてみよう

持ちかえったワラスボとムツゴロウ。先ずはムツゴロウを頂く事にしよう。
国内では八代海の一部と有明海のみに生息するムツゴロウ。干潟の藻を食べる彼らを内臓もそのまま蒲焼に仕上げて頂く。

ワラスボをスボガキで捕獲する。ムツゴロウ料理。ふんわりとした身質で甘いタレとの相性がとても良く美味しい。骨は非常に硬く食べられないが然程小骨が気になると言う訳でもなく食べやすい。一晩活かして泥を吐かしておいたので内臓も全く臭みもなく頂けた。

 

ワラスボをスボガキで捕獲する。ワラスボ料理。エイリアン餃子。

ワラスボをスボガキで捕獲する。ワラスボ料理。エイリアン餃子。続いてはエイリアン餃子。ワラスボを蒸し、身のみを取り除く。これを使い餃子の皮で包み込んだ珍品だ。飾り付けで使ったワラスボの頭部があたかも卵から産まれた瞬間のエイリアンの様な演出をし、映えまくるビジュアル。
臭みもなくやわらかな身質を楽しめて癖がない。餃子のタレとパクチーとの相性抜群だ。
流石に頭は骨が多くちょっと食べられないかな….

 

 

ワラスボをスボガキで捕獲する。ワラスボ料理。エイリアン餃子。ワラスボをスボガキで捕獲する。ワラスボ料理。エイリアン餃子。最後に残ったワラスボは乾物にしていただく。しっかり乾燥したワラスボを炙って酒のつまみとして楽しむも良し、熱燗に入れてワラスボ酒として楽しむも良しだ。

 


スボカキを終えたその日の晩、不思議な夢をみる事となる。
僕を乗せた宇宙船は惑星『秘密の恋は泥沼の星』に不時着した。
待ち構えていたのは愛という名の干潟、嫉妬というエイリアン、そして憎悪という卵達であった。
うなされた僕は嫌な汗を大量にかきベットから飛び起き呟いた。
『スボカキは不漁だったが汗かきは大漁だ…..』
深夜の親父ギャグを聞いてくれる相手もおらず….

ワラスボをスボガキで捕獲する。有明海干潟。干潟が僕を呼んでいる。今夜はもう眠れそうにない。

 


BRECOLでご紹介した
ムツゴロウとシオマネキの闘いはこちら

愛の戦士ムツゴロウVS甲殻の騎士シオマネキ(佐賀県)

 

Fielder ヂルチが挑むワラスボ釣りはこちら
有明海のエイリアン、ワラスボを釣って食べてみた。(佐賀県)

https://brecol-store.com/blogs/blog/warasubo_saga

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