どんな世界にも境界線ってあるよな。
境界線といえば、三苫の1ミリに世界中が沸いたことが記憶に新しい。
ブラジルからガイアナへ入国した途端に言語や街の雰囲気が一変したのも然り。
学校で隣のクラスに入り辛かったあの感覚も、きっとある種の境界線だ。
今回はイワナの境界線を越えてみた話しをしたい。
イワナの種類について
日本には様々な模様のイワナが生息していて4つの亜種に分けられている。
白斑と朱点を持つイワナの多くはニッコウイワナ、白斑を持たないものの多くはヤマトイワナといった具合だ。
イワナの世界へようこそ Vol.1で色んな模様のイワナ達を紹介しているので、気になる方は第一話から読んでみて欲しい。
(画像は今回の釣行で出会えたヤマトイワナ)
境界線の中に存在する狭間
最近、ヤマトイワナとニッコウイワナの生息域の狭間に棲むイワナの模様がマイブームだったりする。
狭間とは実に厄介な言葉だ。AとBの境界線にある僅かな隙間を探そうとしているといったら伝わるだろうか。
例えば、うっすらと白斑があるけど、実はヤマトイワナとか。その逆もまた然り。
ヤマトイワナを求める多くの釣り師が白斑の有無に一喜一憂する中で、モヤっとフワッとウーンっとさせられる曖昧なイワナ達にこそ面白い世界観がありそうな気配がするのだ。
例えば、ニッコウイワナの生息域である相模川に棲む白斑の無いイワナについてはvol.6で紹介している。
相模川に棲む白斑の無いイワナを求めて(イワナの世界へようこそVol.6)
天竜川と信濃川の境界線
ご存知の通り、太平洋に注ぐ天竜川にはヤマトイワナ、日本海に注ぐ信濃川にはニッコウイワナが生息している。
おまけに天竜川水系の諏訪湖周辺には『縄文アマゴ』と呼ばれるアマゴも生息しているらしい。
僕は春の境界線を飛び越えて突然やってきた真夏の空気から逃げるように諏訪湖へ向かった。
縄文アマゴの定義とは
車止から幾らか歩き、アマゴとイワナが混棲していそうな区間に入渓する。
深い霧が立ち込めていたため、入渓時に魚影は見えなかったが、ブドウ虫をつけた仕掛けを流れの中に放り込むと、ピュンっと着水点めがけて魚が走った。
明快な目印の動きを頼りに竿を上げてみると、綺麗なアマゴが掛かってきた。
確かに綺麗なアマゴではあるが、果たしてこれが縄文アマゴなのか普通のアマゴなのかぼくのような素人では判断できなかった。むしろ普通のアマゴが何なのかも分からない。
普通って何だろうって子供の頃からずっと考えているが未だに答えは出ていない。
最近は多様性って便利な言葉が流行っていて些か助かってはいるけども。
という事で、縄文アマゴかもしれないアマゴが入れ掛かり状態で次々と掛かってくる。
アマゴを写真に残してはリリースを繰り返し、ヤマトイワナが掛かるのを待つ展開となった。
ブレコのテンカラ竿で縄文アマゴ?を釣る
実は……。今まさにこの記事が掲載されているブレコでは、釣り竿やランディングネット、他にもキャンプ用品やTシャツが購入できる。
良い機会なので、バァーっとページを上にスクロールして“製品一覧”をクリックしてみて欲しい。
因みに僕のオススメは車中泊で大活躍中の『BRECOL レトロ風 LED アウトドア ランタン』だ。
休話閑題、今回はブレコのテンカラ竿も使ってみることに。実はこの山はブレコ/フィールダーの鍋田氏と一緒に訪れようと思っていた場所なのだ。
イワナを求めて小移動
アマゴの魚影と活性が高く、時々イワナの姿が見えるようになっては来たものの、釣れど釣れどもアマゴという状態に嬉しい苦戦を強いられた。
そんな展開を打破すべく一気に標高を上げてみると、今度は魚影がパタっと消えてしまった。
イワナが棲息していそうな環境が続いていたので、辛抱しながら丁寧に釣り上がっていくとようやくイワナがヒットした。
どんな模様のイワナなのか確認するこの瞬間こそがイワナ釣り最大の醍醐味である。
この川1匹目のイワナはどこか女性的で優しい表情のヤマトイワナだった。
その後はポツリポツリと綺麗なヤマトイワナを拾い釣るような展開となった。
いつもならココで満足となるところだが、今回は山の反対側の川にも興味がある。
歩くの大変だし次回にしようかな……。なんて思ったことはココだけの内緒だ。
分水嶺を超えて信濃川へ
ヤマトイワナとニッコウイワナの生息域の境界線を歩いて超え、登りから下りに転じる。
どんどん標高を下げ、谷底から水の流れる音が聞こえ始めた場所で入渓してみることにした。
想像通りの藪沢だったが、水量は豊富でイワナが棲息していそうな雰囲気だ。
ルアーではなかなか釣れず、ブドウ虫を放り込むとやっとイワナが掛かってきた。
こんなにも近くで隣り合い、山頂の水源を同じくする川なのに、どうして白斑の有無という明快な違いが生じたのだろう。
イワナを釣っていると、いろんな疑問や目標が尽きることがない。