日本伝統釣法とも言われるアユの友釣り
ちょっと難しいけど、意外と初心者でも簡単に釣れちゃう。
家の近くに釣り場も多いし、食べて美味しいし。そりゃ人気な訳だ。
今回の記事では、アユ釣りド素人な僕が友釣りについて紹介してみたいと思う。
アユについて
清流の女王とも称されるアユという魚を知らない日本人はきっと少数派だろう。
キュウリウオ目に分類されるアユは、広い意味でシシャモやワカサギの仲間であり、釣り上げるとキュウリのようなスイカのような爽やかな香りがする。
食性は成長と共に変化するが、成魚ともなるともっぱら岩に着いた苔を好んで食べるようになり、良質なコケが生える岩を巡って激しい縄張り争いを起こす。
アユ同士を喧嘩させる変わった釣り方
アユの友釣りは、縄張り争いを起こすアユの生態を利用した特殊な釣り方だ。
オトリ鮎と呼ばれる活きたアユにイカリ針を仕込んで苔の生えた石の周りを泳がせると、縄張りを主張するアユがオトリに体当たりすることでイカリ針に引っかかって釣り上がる。
つまり、友釣りは餌釣りではない。どちらかといえば引っ掛け釣りなのだが、アユの方から引っかかってくる訳で、ボラ掛けとかヘラチョウザメのスナッキングとは一線を画していると感じる釣り方だ。
もっというと、こんな釣り方は世界に類を見ないとも言われている。
ヘラチョウザメのスナッキングが気になった方はコチラの記事をどうぞ。
特殊釣法ゆえに釣り具も特殊
活きたアユを常に必要とする友釣りは、普通の川釣りでは使わない道具が多い。
オトリを車で運ぶためのオトリ缶とエアレーション、釣り場でオトリを活かすための引き船、鮎ダモ、ベルトとベスト、鮎竿、専用仕掛け、フェルトシューズ……。
特殊な釣り具が多いことも友釣りは敷居の高い釣りと言われる所以である。
そんな道具の煩雑さを打破したのが、近年流行の兆しを見せているルアーを使用したアユイングだ。
昨年、ブレコの記事で相模川でのアユイングを紹介した。
友釣りはちょっと…と感じる方は特に必見。ルアーを使うことでビックリするくらいお手軽に、鮎釣りが楽しめてしまうのでコチラの記事も読んでみて欲しい。
新品の鮎竿が5万円以下で買える時代になっていた
鮎釣りにしか使えない道具なんて買う気になれない。
そんな風に思っていたが、アユイングを何度か楽しむうちに、やっぱり友釣りも始めてみたいと価値観が変わり始めた。
弟のマサも友釣りにハマりはじめていたのも影響したのだろう。
エントリーモデルであれば3万円から5万円程度で新品の鮎竿を購入できると知ったこともキッカケとなった。
今年こそ友釣りを始めようと決意し、中古釣具店を巡ると鮎ダモや引き船が1000円で売られていることにも気が付いた。鮎竿だって拘りが無ければ1~3万円程度で売っている。
オトリ缶は古いクーラーボックスを改造し、鮎タビは沢靴で代用、ベルトはホームセンターで500円。
1つ1つ、ちゃんと節約してみるとかなり格安で友釣り道具を揃えることができた。
オトリ屋を尋ねてみる
友釣りの一日はオトリ屋から始まる。遊漁券とオトリとして使用する生きたアユを購入するためだ。
僕は毎度、鮎釣り初心者ということを店主に伝えてからオトリを購入している。ほとんどのオトリ屋は初心者にも親切で、竿の長さにあった入川地点や良く釣れている区間、釣り人の少ない区間や駐車場の位置など色んな情報を親切丁寧に教えてくれる。
オトリ屋では積極的にコミュニケーションを取るのがオススメだ。
鮎が釣れる多くの河川は漁協によって管理されているため、入漁券の購入が必要となる。
鮎釣りの場合、1日の遊漁料は1500~3000円が相場だろうか。因みにオトリ鮎は1匹300~600円、オトリが死んでしまっては友釣り続行不能となるので、初心者は2~3尾購入することになる。
また、河川や区域ごとに解禁期間と禁漁期間が設定されているので必ず事前に下調べしておこう。
そうそう。鮎の友釣りは河川の水位状況によって釣りが成立しない場合がある。釣行する河川の漁協やオトリ屋のHPで近況を確認してから実釣することで、釣りができずに帰ってくるなんてことにならずに済む。
オトリに鼻カンを付ける
鮎釣りの仕掛けは実に複雑だが、ご安心あれ。釣り具店では完全仕掛けと呼ばれるセット仕掛けが販売されているので、竿に付けるだけで友釣りが始められる。
イカリ針だけ消耗品なので別売りなので忘れずに購入しよう。
ハナカンをアユの鼻に通し、サカサ針を臀ビレにかけ、そっとアユを送り出して川を泳がしていく。
オトリは想像以上に良く泳ぎ、初心者にも簡単に掛かってくる
元気なオトリは流れに逆らって実に良く泳いでくれる。
糸を弛ませて下流に引っ張れば上流へ、手前に引けば奥にといった感じでオトリは引っ張られる方向に逆らって泳ごうとするのだ。
狙いを定めた流れや石に向かって泳ぐように竿を操作するのだが、友釣り初心者の僕は既にこの時点でとても楽しい。
そして、ここ良さそうだなと思った場所にオトリが入ると、ギュギュギュンと突然竿に衝撃が走り、野鮎とのファイトが始まる。
河川状況が良ければ、僕のような初心者でも1日10匹とか20匹とか釣れてしまうから、鮎釣りにハマる人が多い理由が良く分かる。
噛み砕いて表現すれば、初心者でも釣れる釣りは長続きする人が多いという訳だ。それくらい、コンディションの良い川の鮎は簡単に釣れてくれる。
アユの引きはめっちゃ強い
流れの中でヒットするアユの引きは想像以上に強烈だ。思わず両手で竿を保持するほどで、気を抜くとのされそうになる。
タイミングを見計らって水面から抜き上げると、たった20cm程度のアユがビューンとこちらに向かって飛んでくる。
大きさに見合わない強烈な引き味も友釣り初心者の僕にとって大きな醍醐味だ。
家に帰ってからも楽しめる
アユと言えば食味の良さも忘れてはいけない。清流まで足を運び苦労して釣った鮎を氷水で絞め、ジップロックに入れて家族の待つ家に持ち帰る。
釣りたて新鮮な天然アユの塩焼きの美味さといったらそれはもう格別。そして、鮎は河川によって食味が少しずつ変わるのも面白い。自分好みのアユが釣れる川を見つけられたら、来年は年券を買おうと思っている。
新しい釣りにチャレンジすることは本当に楽しいことだ。とりわけ友釣りは仕掛けから身体の使い方まで他の釣りと異なる点が多くてたまらない。