以前にインドに生息するナマズで少し書きましたが、今回はメーターを超えるメーターオーバーのワラゴアッツーを狙いに行ってきたので、その釣行紀です。
[ワラゴアッツー(Wallgo attu)とは]
ワラゴアッツーはSiluridae科のナマズでインド亜大陸ではインド、パキスタン、ネパール、ブータン、バングラディシュからイラン、アフガニスタンと広範囲に生息しているナマズの一種です。
東南アジアでは、タイ、ラオス、カンボジア、ベトナム、マレーシア、インドネシアで生息していて、マレー半島、ジャワ島、スマトラ島などにも生息しています。
此処インドでも有名なナマズで「ヘリコプターキャットフォッシュ」と言われたりしていますが、ワラゴレイリーも同じくヘリコプターキャットフィッシュと言われています。
その2種は別種ですのでご注意ください。今回はワラゴアッツーの方をご紹介していきます。
見ての通り、一風変わった体型をしていて、その最大の特徴は何といっても顔の半分以上ある大きな口です。いわゆる口裂けの形相で滅茶苦茶かっこいい顔をしてますよね。
細かく鋭い歯が無数に生えていて、しかもその歯が内側に向かっているという何とも恐ろしい生えかたになっています。
つまり、餌となる魚を咥えたら何が何でも離さない。捕まってしまった魚は逃げ出すことは不可能。気性は荒く、口に入れば大きな魚も捕食します。
実は以前、1回だけ試しで口の中に手を入れたことがあります。60cmくらいのワラゴアッツーだったのですが、意外とすんなり指が入るものの、いざ抜こうとすると抜くに抜けず、口をこじ開けてやっとこと外れたことがありました。
チャレンジしたい方は、マウスオープナーを持っていた方が良いかもしれません。指が傷だらけになってしまったのは言うまでもありません。1度きりの経験で十分です。いや、経験しなくて良いと思います。
タイで記録されたワラゴアッツーは、なんと体長が最大で2.4mまで確認されているらしく、50kg近くあったという話もあります。
タイをメインとする東南アジアでの釣りがメジャーと思っていましたが、インド全土でも生息しており、ゲームフィッシュの対象としても人気のある魚です。また、フィッシュマーケットにもよく並べられていて、食べても美味しく1キロあたり300ルピー(500円くらい)で売られている魚です。
今回は釣り部のメンバー、ロクさんに誘われてメーターオーバーのワラゴアッツーが多数釣れると言う湖に行ってみました。
デリーから飛行機で南に3時間半下った場所にあるカルナータカ州です。
カルナータカ州の州都のベンガルール(旧バンガロール)は比較的高地にあり、夏は過ごしやすく、冬も暖かい気候。とはいっても夏真っ盛りのシーズンは40度を超える時もあり、油断できません。
そのベンガルールから車で5時間ほど北上してアンドラプラディシュ州に入ります。途中日本でも有名な「サイババ」の総本山(?)がある街に立ち寄り、現地のガイドを合流して最終目的地に向かいます。
街中にはサイババの写真が貼られていて、信仰度合いが一目瞭然です。
驚くことにこの街には年間2000人の日本人も参拝や観光で来るみたいです。
モーニングチャイとサンドウィッチではやる気持ちを抑えながらの朝食。
陽もだんだんと昇り始めたのでサンドイッチを無理やりねじ込んで湖に向かいます。
今回のメンバーはインドの釣りクラブのメンバー4人。皆それぞれインド国内各地からやってきました。皆記憶に残るメーターオーバーを釣ってやろうとやる気満々。
今回お世話になるアレンジ、ガイド役のアレクシス氏(右)、サイババの街に住んでいるけど、なぜかイスラム教徒のイムラン氏(左)です。
敬虔なイスラム教徒のイムランはまさにラマダン中で断食の真っ最中でした。
お疲れ様です。
さて、ダムの放水口側が今回の釣り場です。
まだ陽が明けきっていないので湖岸には降りず、水面から20m以上もある足場から釣りをスタートします。
ここにはメーターオーバーが潜んでいると言うのに、どうやってランディングをするのか?と疑問に思いながらもルアーをキャスト。なんと1投目でアタリが。
でも安心してください。入ってますよ!
彼らはちゃんと落しタモを自転車のタイヤのリムで作って持ってきてくれていました。所々破けていて網には大きい穴が多数でインドらしいタモ。インドあるある。
何回か網をすり抜けられながらもなんとかランディングに成功。
小ぶりのサイズでしたが幸先の良いスタート。
しかしながら、その後は続かず、ポイントを大きく変え反対側の湖岸に降りることにしました。
下を覗くと足がすくみそうで、心許ない通路を渡っては反対側に渡り、湖岸に降り立ちます。
岩がいつ落ちてくるかもわからない対岸の切り立った絶壁の下で釣り開始です。
湖の一面にボイルが起きていて高活性モードで雰囲気バッチリ、釣れそうな予感。
オーストラリア産でラバー製のバイブレーションや大きめのスプーンが好反応とガイドのアドバイスを無視し、とりあえずみんな大量に持参した思い思いのルアーを投げ始めます。
するとガイドのイムランが遠慮なくいきなり釣っちゃうんですね。これもインドあるある。
やっぱり現地を知り尽くしている人はルアー選定も、場所もよくわかっています。同じくアレクシスもこの通り。
おー、お二人ともやりますなー。
冷静を装いながらも2人のナイスフィッシュに焦りながらルアーを投げ続けます。
このサイズでも攻撃的なアタリと引きで、十分楽しませてくれます。
でも狙うはメーターオーバーのモンスタークラスなのです。
湖の底には岩が大量に沈んでおり、好確率で引っ掛かります。何とかルアーが無事に戻ってきてくれることを祈りながら投げまくります。
ストラクチャー周りは魚が溜まっている筈なのでどうしても攻めたくなってくるのでピンポイントで投げこみますが、案の定で僕は今回5個のルアーを無くしました。
たまに10個くらい失くす人もいるそうです。
この朝イチの時間は放水路直下の横のエリアに魚が溜まっているようでアタリも多数、皆順調に釣り上げてます。
バンガロール在住のダイキチさん、一人でどこへでも釣りに行っちゃう冒険家。もう一人のT. Namiki似のイケメン君は今回インド初釣行にして初遠征のミノー君。
2人は何と奇跡のモンスターを、ダブルヒットしてくれました。
まずはダイキチさんのモンスター認定サイズの魚から↓
続いてミノー君のモンスターサイズが上がりました。
その後にチェンナイから参戦してこの時間まで小型のワラゴーアッツーしか釣れていなかったロクさんに待望のアタリがやってきたようです。
やっと寄せてきたと思ったら、ラインが岩に当たって根擦れの感覚が。 。 。
50ポンドのリーダーをあっけなく切られ、巨体は去って行ってしまった模様です。
その後に掛けた魚も痛恨のバラシ。
朝というのにすでに気温は30度以上。その中でルアーを投げ倒しているけど、先程までのアタリの連発がさっぱりなくなってしまいました。
シーンと静まり返り、気が付くと魚のボイルも見られなくなって、なんと地合い終了のようです。魚釣りのあるあるです。
時間はまだ朝の10時半くらいで、フィーバータイムが終わってはいけない時間です。焦りと殺気はルアーまで伝わるというのは本当の話で、魚は一向に寄ってきてくれません。
2度目のフィーバータイムが来るのを期待しながらルアーを投げ続けます。
心を無にし粘った甲斐があり、待望のアタリが!!
ところが、少し離れた場所でダイキチさんが
これはこれで羨ましい魚ですね。
後半も頑張りましょう!
さて、後半戦に突入します。
まだメーターオーバーが釣れていない僕とロクさんは手前側の湖畔、ダイキチさんとミノー君は前半と同じ湖岸に降ります。釣れるか釣れないかはもう賭けです。
今まで多くのワラゴーアッツーを釣ってきた結果完成したルアーらしく、このルアーに託します。
その後、ロクさんにも同じような岸際手前でアタリがあったようです。両者ともフッキングはしなかったのですが、2人とも焦っているのでちゃんと食わせができなかったのでしょう。
そんなに大きく無いサイズですが、どうしてそんな簡単に釣れてしまうのか?
イムランから教えてくれたルアーの巻き方は、「一旦そこに落としてゆっくり巻け、底から30cmくらいのところをトレースするように」です。何度か指摘されましたが、出来てないのかしら?出来てないんでしょうね…
ラインは出ていくし、岩陰に潜り込もうとしていてなかなか上がってこない。
相当大きそうです。主導権をなんとか保って手繰り寄せ、やっと上がってきたのは。
86cmのグッドサイズ。
少しずつメーターサイズモンスターへ近づいている気がします。
魚の活性はそこそこ高いようで、このチャンスを逃してはいけません。
続けざまにロクさんにまたもやアタリが。今度の魚は先ほどのよりも引きが強くなかなか岸に寄って来てくれず、ドラグもずっと鳴りっぱなしです。
焦ったロクさんは根ズレを回避しようと思ったのか、もう少し岸際に寄ろうとして張り出した岸際の岩の上にジャンプ。 ツルっと足を滑らせて落水。足もつかないような水深で魚がついたままのロッドを持ち立ち泳ぎ。なんとか上陸に成功しファイトを再開します。
意地で釣り上げた魚は
なんと104cmの見事なサイズで綺麗な魚体をした、ワラゴーアッツーでした。
本人もトラブルの後の見事な魚体に満足そうで、長いこと余韻に浸っています。
でもこういう場所ではスニーカーはダメ。ジャンプはあまりしないように!できればグリップ力のある靴を履くことをお勧めします。ロクさんは悪い見本を体を張って教えてくれました。
負傷しながらもメーターモンスターを釣って余韻に浸っているロクさんの場所を頼み込んで譲ってもらうことに成功、(今回場所を譲ってもらってばかりです)、やっと今回アタリの多く頻発する場所を集中して狙えることができるようになりました。
この湖の中央部は隆起していて水中島みたいになっています。ルアーを遠投するとルアーが届くギリギリのラインは水深が1mほど、そこから手前に向かって深くなってます。
湖岸際の水深は7mくらいで、手前に向かって大きめの沈み岩がところどころ点在しながら傾斜していることがわかりました。
ワラごアッツーはその岩の影に隠れて餌となる魚を待ち構えている感じですね。
50gのスプーンをできるだけ遠投し、斜面を這わせるようにできるだけゆっくり巻くと「ゴゴン!」と当たりがありました。
魚はルアーをひったくるのでアワセはほとんどいりませんが、追いアワセをしておきます。そのまま巻き続け、足元に近付いてくると魚は岩の影に入り込もうとします。ラインが擦れるイヤな感じがして何度も“いなし”ながらもランディングできました。
86cmのワラゴーアッツーが釣れました。
その後すぐに87cmの1cmサイズアップすることに成功。引きが強く、十分楽しめまていますが、今までの自己最高サイズが90cmなのでまだ自己記録にすら届いていません。
でも確実にメーターサイズに近づいているような気がしてなりません。
今のところ、僕だけがメーターオーバーを釣ってないので速攻で魚を回復させ、余韻に浸る間もなくリリースしてからすぐに続行します。
同じようにルアーを遠投し、ゆっくりとルアーを一定のスピードで巻いているとドカン!と今日一番大きいアタリがあって、アワせる間もなくラインが出ていきます。相当焦りながらリールを巻き、ラインが出され、を繰り返し、近くに寄せたと思ったら右に左に走りまくります。
足場のすぐ下は7mくらいの水深で、手前は切り立った岩が垂直に壁になっていて、岩の奥に入られたらいくら太いラインシステムを組んでいても簡単に切れてしまいます。左右に走る分はなんとかなるのですが、下に潜られるとラインを切られる恐れがあるのでできるだけ下に潜られないようにロッド操作します。
今までよりずっと大きく、確実にモンスタークラスの魚と確信し、慎重かつ急いで安全圏へと魚を寄せます。やっと足元に寄せてランディング成功。
上がってきたのは!!この見事なサイズの115cm、11kgのワラゴアッツー!
目標だったメーターオーバーのサイズ。なんと今回の釣行の最大サイズを釣ることができました。
暴れた時に岩に擦ったと思われる傷が申し訳ないです。
顔と同じくらいの口のサイズで、これは手を突っ込んだらヤバイ感がものすごいです。
でっぷりとしたお腹の中は、一体何を食べて膨らんでいるんだろうと思いながら相当疲れているであろう魚を十分に回復させリリースします。
噂には聞いていましたが、大きいサイズがこんなにも釣れる場所があることに驚き、また更なるサイズアップを釣りに行きたいと決めました。
最後に70cmくらいのを1匹釣って終了しました。
最後の最後に今回の最大サイズを釣ることができて、今回アレンジしてくれた釣りクラブのロクさん、盛り上げてくれたダイキチさんとミノー君とガイドのアレクシスとイムランに感謝です。
全員メーターオーバーが釣れて大成功の釣り遠征になりました。
次はもっと余裕を持って現地入りし、目指せ150cmで行きたいと思います。
ちなみに対150cmのワラゴアッツー用のタックルを揃えちゃいました。
次回の釣行が待ち遠しく楽しみです。