幼少期をシンガポールという南の島で過ごした僕たち兄弟は、日本の魚にちょっとした憧れを抱きながら育ってきた。
日本の魚を釣ろうとすれば、それはテレビ画面の中に限られるワケで、“ぬし釣り”というゲームを通して日本の魚を釣り上げて遊んでいた。
そんなぬし釣りの中で、『ウサギアイナメ』という魚が出現した。
アイナメという魚は手元の図鑑でみたことがあるケド、ウサギアイナメってなんだ?!
現代のようにすぐにgoogleで調べられない時代であったが故に、とても印象に残った魚である。
シシャモ釣りを終えて
本物のシシャモという魚を釣り上げ、次なる目標に定めていたウサギアイナメが釣れるという地域へ車を走らせた。
寝る時間も必要だが、夜釣りも捨てがたい。とうにシーズンは終わっていると聞かされていたアキアジを、何とか1匹釣り上げたいという執念で深夜まで粘り倒してから幾らかの仮眠を取った。
いつだって生産的な釣り旅を目指す
ウサギアイナメ釣りを、一緒に楽しもうと誘ってくれた友人との合流は昼過ぎの予定だ。
友人と合流するまでの時間を使って、僕にとってお初なチカ釣りと動画撮影の仕事をこなす。
『生産的な釣り旅を!』これが、遠征時の僕のモットーだ。
食事と睡眠の時間すら勿体ない。無論、銭湯になんて浸かっている暇なんてない。
釣ってみたい魚なんていくらでもいる。
もう一度書く。
時間が足りない!体力の前借りができればどんなに良い事か…。
夕マヅメ、友人がウサギアイナメを連発させた。
友人と合流し、いよいよ楽しみにしていたウサギアイナメ釣り開始だ。
まずは、僕が釣りをしてみたかった漁港へ向かうが、残念ながら先行者の姿があった。
せっかくの北海道遠征だ。いくつも漁港があるので、釣り人の姿がない場所を見つけて楽しみたいと思い移動することに。
人っ子ひとりいない漁港に到着するやいなや、友人が真っ赤なウサギアイナメと黄色いウサギアイナメを釣り上げた。
雌雄で体色が異なるウサギアイナメ
アイナメ科に分類される魚は、アイナメの他にクジメやホッケなど約12種類が知られ、ウサギアイナメは主にオホーツク海やベーリング海に生息する魚だ。
北海道では道東を中心に釣果が聞かれる魚である。
赤と黄色で体色が異なるのは雌雄の違いによるもので、雄の身は青みがかるという特徴もある。
ウサギアイナメはキャッチできずとも…
晩秋の北海道の陽はあっという間に沈んでいく。この日も例外なく、決まった時刻に日の入り時刻を迎えてしまった。
正直言って、ウサギアイナメは3時間もあれば釣れるでしょう。と軽く考えていたが大誤算であった。
薄暗くなるまで粘っていると、見たことのないニョロが掛かってきた!
あとで、種類を調べてみるとゴマギンポのように思える。
ギンポは種類が多く、実に奥深そうでハマりそう。今回、裏ターゲットに据えていたムロランギンポでは無かったが、僕にとって初めてのイッピキに違いなく、恒例行事である写真撮影大会となり日暮れを迎えた。
夜の餌釣りではヤセサブロウという一風変わった魚が登場してくれ、テンション爆上がりとなった。
夜が更ける前に、翌日予定していたヒメマス釣りの撮影のためにエゾジカに怯えながら安全運転で屈斜路湖へ向かった。
屈斜路湖でのヒメマス釣りを早々に切り上げる
屈斜路湖のヒメマスは状況がとても良く、午前中で動画撮影の仕事を終えることができた。
一目散に昨日の漁港へ戻り、何とか夕マヅメに到着することができた。
来るぞ!きっと…次こそは、僕に来るぞ!と期待しながら丁寧にウサギアイナメを狙っていくと、ゴマギンポよりも重量感のある魚がヒットした!
念願叶ったり!良型のウサギアイナメGet!
竿をしっかり煽って、一気に海面まで魚を浮上させると真っ赤な魚体が見えてきた!
慎重に堤防に抜き上げ、やったぁー!と毎度の雄叫びを上げてしまう。
水を張ったケースにウサギアイナメを寝かせ、写真撮影&観察タイム。
僕が釣った個体は、赤が濃すぎて黒っぽく発色していた。鮮やかな赤ではないが、僕の理想としていたウサギアイナメと言えばこの赤黒さだったので大満足の1ピキだった。
続けざまにメスのウサギアイナメも!
夜の部まで惰性で釣りを続けていると、メスのウサギアイナメもヒットしてくれた。
他にも、北海道の定番魚である、エゾメバルやクロソイたちがコンスタントに釣れてくれるから面白い。
ボーナスステージを満喫する
シシャモとウサギアイナメという、2大目標を達成したところで、ココから先は僕にとってボーナスステージだ。
翌朝まで、楽しい北海道の夜釣りを満喫した。
投げ釣りで大きなヌマガレイ、アジングタックルでキュウリウオとニシン、ずっと釣って見たかったクサウオ、日付変わって、ムロランギンポ、スジアイナメ、真っ黒な狐、他にもコマイやカジカなど、沢山の裏ターゲットたちと出会うことができた。
今回の北海道釣行のハイライトと言えば、もちろんシシャモとウサギアイナメになるのだが、ゴマギンポやヤセサブロウといった自分の知らない魚との出会いも存分に楽しめた。
今思い返せば、幼少期から『なんだ?!この魚は?』が僕の魚釣りの原動力になっているのかもしれない。
ギンポもサブロウも他に種類がいるようなので、長い釣り人生の中で1種でも多く釣れるように、挑んでいきたいものだ。