『安近短の外遊び』テナガエビ釣りを始めてみよう!

『安近短の外遊び』テナガエビ釣りを始めてみよう!

初めての1匹との出会いに最も価値を置き、世界中何処へでも行く怪魚ハンター山根ブラザーズの兄。釣りや採集だけでなく漁業者や研究者と協力してまでも、まだ見ぬ生き物を追い求めてフィールドに立つ。 テレビ東京・緊急SOS池の水全部抜く大作戦やNHK・ダーウィンが来た、TBS・VSリアルガチ危険生物などに出演したり、魚類生態調査に参加したりと幅広く活動中。

魚釣りは思いのほか、身近な場所で楽しめる遊びだ。

今回は、近所で楽しく釣れて、美味しく食べられる『テナガエビ』の釣り方をご紹介したい。

もはや、魚ではなく甲殻類なのだが、専用釣り具も販売される程、人気があるワケとはいったい…。

 

 

 

テナガエビを食べてみて欲しい

居酒屋で川エビの唐揚げがあればオーダーする!って人はこの記事を読むべきだろう。

釣れたてのテナガエビを活きたまま持ち帰り、酒をかけて、油で揚げる。たったこれだけの調理で絶品おつまみの完成だ。

居酒屋で扱われるスジエビ(通称:川エビ)よりも大ぶりなテナガエビは、1匹の食べ応えと香りが桁違い。大変美味で高級感溢れる食材だ。

そんな美味しい食材が、多摩川や荒川といった大都会を流れる川で手軽に釣ることができる訳だから、この夏のアウトドア候補に入れないわけにはいかないはずだ。

 

 

 

テナガエビってどんなエビ?


まるでバルタン星人のような長いハサミが特徴的なテナガエビの生息範囲は実に広く、北海道を除く日本各地の河川に生息する。

テナガエビは種類も多く日本には15種類が生息し、東京近郊でもテナガエビだけでなく、ミナミテナガエビやヒラテテナガエビなども釣ることができる訳だが、見分けるには少々難易が高い。

どの種類のテナガエビも美味しく食べられるので、見分ける必要はないが興味のある方は釣れる度に観察しながら見分けていくのも面白い。

 

 

 

 

テナガエビが釣れる時期とポイント

テナガエビが釣れる時期は、4月から10月にかけての暖かい時期。中でも6月から7月はテナガエビが浅い場所に集まってくるため最も簡単に釣ることができる最盛期と言える。

最盛期に釣行する場合は、今から紹介する“テナガエビが好む環境“さえ抑えればポイントについての拘りは不要だ。寧ろ都会の場合、駐車場の方が見つけるのに時間を要したりする程だ。

 

 

 

 

テナガエビが好む環境はズバリ…“テトラポット”

テナガエビは夜行性だ。そのため、昼間は太陽が当たらない影に身を潜めている。

ただし、夜行性といってもテナガエビは食欲旺盛で貪欲なため、日中であっても自分の攻撃範囲に餌が落ちてくれば積極的に食らいついてくるのでご安心を。寧ろ、コツさえ掴めばテナガエビが隠れていそう場所が分かってくるので、効率よく餌を送り込むことができる訳だ。

テナガエビが特に好んで隠れ家に利用するのは“テトラポッド”だ。そして、このテトラポッド、地図アプリの航空写真で手軽に見つけることができる。様々な種類があるテトラだが、大きいものよりも小さめの方が釣りやすい。

 

 

 

 

テナガエビは水深1mより浅い場所をテンポよく狙う

最盛期のテナガエビは実に浅い場所にいる。時には長靴で歩けてしまいそうな水深20cm程度の場所にいることも珍しくない。

テトラポットによってできた日陰の部分に狙いを定めて餌を投入してみよう。20秒待って食いついてこなければ次の日陰に餌を入れる。この一連の流れでテトラの影を次々に探ってみよう。

テナガエビ釣りに使用する仕掛けや餌はこの後詳しくご紹介するのでご安心を。

 

 

 

 

潮の満ち引きが起こる場所はタイドグラフを見てから釣行しよう

テナガエビは干満差が生ずる河口域にも生息する生き物だが、そのような釣り場では時間と共に変化する水位に合わせてテナガエビも移動する。基本的な釣り方は同じだが、釣り場によっては下げ潮によって流れが強くなると釣り辛い場合があるので、上げ潮の方が狙い目となるポイントが多いことを覚えておこう。

 

 

 

テナガエビ釣りに必要な道具と餌

梅雨時期ともなると釣り具屋の目立つ位置にテナガエビ釣り特設コーナーが作られることもあるほど、人気なテナガエビ釣り。仕掛けに関しては各メーカーから専用の物が迷ってしまうほど販売されている。

初心者の方はウキ釣り用の仕掛けを選ぶと良いだろう。もし、3連や4連シモリと呼ばれる仕掛けが売っていれば選んでみて欲しい。

釣り竿は2m程度の物が扱いやすく、リールは不要だ。フナやタナゴ用ののべ竿で充分。なんでもブレコから発売されると噂のオシャレなのべ竿なんて最適だろう。

餌は、ミミズや赤虫といった釣り具店で購入できる生きた餌が一番だが、『触れない…』という方は、カニカマや魚肉ソーセージ、ボイルホタテといったスーパーやコンビニで購入できる食材でも釣ることができる。

いずれの餌も針より少し大きい程度に切り分けて付けて使用する。

 

他にも、テナガエビを持ち帰る為の容器や水を汲むバケツ、蚊が多い時期なので蚊取り線香や虫よけスプレーも忘れずに用意したい。

 

 

 

 

テナガエビの釣り方とコツ

テナガエビは中層を泳いでいる魚と違い、川底やテトラポットの上にいるため、餌をつけた釣り針を川底に置いてあげることが釣果を伸ばすコツだ。
実戦してみて欲しいのが、ウキを沈めること。多くのテナガエビ用の仕掛けでは、ウキが沈むようにオモリが調整されているが、そうでない場合は板オモリと呼ばれるハサミで切って使用するオモリを使ってゆっくりとウキが沈んでいくように調整し、ウキが水面から数センチ沈んだところでウキの沈下が止まる、即ちオモリが着底するようにウキの位置を調整すれば準備オッケーだ。

多連シモリ仕掛けをオススメしたのは水深の変化に合わせていちいちウキの位置を調整しなくても済むためだ。

 

 

 

ウキが動いてもすぐに上げてはダメ!

テナガエビが餌を食い込むと、ウキがモゾモゾしたり横にスーっと動いたりするが、ここで焦って竿を上げてはダメだ。心の中でゆっくりと20秒数えてから、肩の力を抜き、そーっと…ゆっくり優しく仕掛けを10cmくらい持ち上げてみて欲しい。

テナガエビが餌を咥えていたらちょっと重たいはずだ。

ここでも焦らずに、糸を張った状態で5秒待ってみて欲しい。テナガエビの方からグンッグンッ!と跳ねるように動きだしたら勝負あり、そのまま少し力をいれてゆっくり釣り上げよう。

5秒待っても引き込んでいかなければ、人間側から仕掛けていく。脚で川底を掴んでいるテナガエビを剥がしとるようなイメージで竿を上げてみよう。

 

 

 

テナガエビを美味しく食べる為のコツ

甲殻類は死んでしまうとすぐに傷むため、釣ったテナガエビは活かして持ち帰るのが一般的。

釣具店に販売されている電池で動くエアレーション、通称ブクブクを用意しておくと沢山釣れた時に酸欠を防ぐことができる。

テナガエビを活かしておく容器はバケツでも良いが、夏場の暑い時期は保冷機能の付いた専用クーラーやダイソーなどで売られている発砲スチロールと氷の併用がオススメだ。

釣りをした川の水質が気になる方は、1~3日ほどテナガエビを飼育して排泄物を出して(通称泥抜き)から調理する場合もある。テナガエビは酸欠と高水温に弱いのでエアレーションを忘れずに涼しい場所で泥抜きを行おう。

最後に、テナガエビは魚と違い地面を歩いて移動できる生き物だ。釣り場や家の中での脱走にはくれぐれもご注意を。

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