皆さんも灯りの効いた窓際や公園の木の隙間、街灯などに集まる彼らを一度は見かけたことがあると思います。
実は日本に生息するヤモリ科の仲間は14種類!
こちらは石垣島でマダラサソリを探している時に遭遇したオガサワラヤモリ。
背中からしっぽにかけてW状の模様があります。
なんとこのオガサワラヤモリ、オスのいない全メス種で単為生殖を行って増えます。
じっとしている時は尻尾をくるんと丸めていることが多く、とってもキュートです。
また、本州在住の方にとって1番ポピュラーなのはニホンヤモリでしょう。
"ニホン"ヤモリと名はついていますが、最近の研究で外来種であるという見解が発表されています。
ニホンヤモリが外来種だったなんて、と衝撃を受ける一方、大隅諸島と九州南部の沿岸部などに生息するヤクヤモリや、トカラ諸島の小宝島、奄美諸島の奄美大島などに生息するアマミヤモリなど、日本固有種のヤモリも存在しています。
今回テーマのタワヤモリも、本州、四国、九州の一部に生息する日本固有種となります。
タワヤモリって?
タワヤモリの名前の由来は、タイプ産地である香川県多和村(現在はさぬき市)です。
海岸周辺や丘陵地など、乾燥した岩場を好んで生息しています。
関西在住の私でもアクセスしやすく、名前の由来となっているとなれば、ぜひ香川でタワヤモリを捕獲したい!
少しの休みを利用して、とあるハイキングコースへタワヤモリを探しに行ってみました。
実際にタワヤモリを探してみた
気持ちの良いハイキングコースを歩き、本命ポイントである板状の岩が重なり合っている場所へ向かいます。
タワヤモリは日中このような岩の割れ目や涼しい場所に潜み、日没後に活動しています。
岩の隙間をライトで照らしながら見ていくと…ありました、ヤモリの卵!
タワヤモリの繁殖期は6月下旬〜8月上旬で、1回に2個の卵を産卵します。
産卵に適した場所であれば複数の個体が産卵するため、このように卵が密集することがあります。
訪れたのは5月初めだったので、写真の卵は全て殻です。
卵を見つけたとなるといよいよヤモリの気配を感じます。
動かせる小さな石があったので、そっと隙間から引き抜いてみると…立派なタワヤモリが一緒に飛び出してきました。
大きな瞳にスベスベした体、笑っているような顔をしていて、ヤモリはどの種も可愛いです!木や壁などを登るヤモリを樹上性といいますが、樹上性のヤモリが持つ丸まった指先はマジックテープ状になっていて、顕微鏡でしか見えない細かな毛が生えています。
さらにその毛は枝分かれして無数の小さなヘラ状となっており、接着面積を大きくすることでツルツルした窓にも張り付いて登ることができます。
この吸着能力は宇宙探索ロボットなどの最新技術として研究もされています!それはさておき、ヤモリを捕獲するとこれが手にもペタペタ張り付いてまたなんとも可愛いんです。
ニホンヤモリに比べて、色が濃くどっしりした印象のタワヤモリ。全体的にニホンヤモリとは雰囲気が違うな、と分かりますが、詳しく見分けるポイントはまずは鱗。タワヤモリは胴の部分の鱗が均一で大きな鱗がないのに対して、ニホンヤモリは大きな鱗が交じります。
こちらは肉眼でも確認できます。
毒があると考えられ、江戸時代からシチブ、トビハミ等の名前で呼ばれていましたが、もちろん毒はありません。
手に乗せていると目立つ色ですが、岩の上に置いてみるとしっかり周りの色に溶け込んでいます。
旅先などでヤモリを見つけたら観察してみてください。
身近な生物であるヤモリも掘り下げてみると多数の種が日本、海外にも生息しています。
沖縄地方には特に多く、旅で訪れた際などは普段見かけるニホンヤモリとの違いなど観察してみると面白いと思います。
今回タワヤモリを調べて捕獲する上で、私も見てみたい種類のヤモリが出てきました。
また機会があればそれらのヤモリたちもご紹介できればと思います。
帰りは丸亀で名物のうどんを食べて帰りました。
その土地の名物料理を食べるのもフィールドワークの醍醐味ですね。
タワヤモリ探しの様子はyoutubeでも公開しています。
実際にどのような場所を探しているのか、動画だとより分かりやすく楽しんでいただけると思います!
お時間あればぜひ見てみてください。