バンコク近郊を経由し、海に注ぎこむ大きな流れチャオプラヤ川とそれに繋がる水系は多くの生き物に恩恵を与える。今回はバンコク近郊に息づく4種の魅力的な淡水魚を捕獲し、タイ人の淡水魚食文化の一部をご紹介させていただく。
ジャイアントマッドスキッパー(Periophthalmus sp.)
世界最大と言われるトビハゼの一種。チャオプラヤ川では河口域の干潟に多く生息する。
小さなジグヘッドにワームもしくは海老の切り身などを付けて干潟に投げ込むと、干潟を滑るように走り食いついて来る。
最大で30㎝程にまで成長する驚愕のトビハゼである。
頭部は比較的大きく、胸鰭が発達している。写っていないが、歯は非常に鋭い。
目には瞼の代わりに眼球を保護する瞬膜がみられる。この瞬膜はカエルなどにも観られる器官だ。
今回は短時間で4匹釣れた。
新鮮なジャイアントマッドスキッパーを唐揚げで頂く。
肉質は全体的に弾力があり、泥臭さも含め臭みは無い。カエルの肉に非常に似ており、とても美味しい食材。
キノボリウオ(Anabas testudineus)
続いてご紹介するのはキノボリウオ。
名前の通りに木に登る訳ではないが、ラビリンス器官という空気呼吸を行うことができる特殊な器官を持ち合わせており、エラ呼吸の魚類よりある程度の時間は陸上で生きていることが可能である。
水路や小さな貯水池などで比較的容易に餌釣りで釣ることができる。
大きさは25㎝程まで成長する。
鰓蓋、背びれは非常に硬く鋭利にとがる。
鱗も比較的固い印象。とても美しい鱗が並ぶ。
キノボリウオは二品に変貌。先ずは素揚げ。若干の臭みを感じる。釣った場所の水質によるものだろうか。
一方のタイ風スープトムヤム。これは中々美味しい。暑い中に大汗をかきながら一気に飲み干した。
魚自体は白身でくどくない味。トムヤムに入った香草のお陰で臭みが軽減したのであろうか?
テッポウウオ(Toxotes chatareus)
テッポウウオとは英名でArcherfish とも呼ばれ、水面から上顎にある溝を通して水を噴射し、木などに止まる昆虫などを射落とし、捕食することで有名。
また、テッポウウオ属テッポウウオ科は7種から構成されている。セブンスポットアーチャーフィッシュ、スモールスケールアーチャーフィッシュなどが有名。日本の西表島で釣れるバンデッドアーチャーフィッシュもその1種である。
主に汽水域の水上家屋等のストラクチャーが多い場所に生息するが、非常に警戒心が強く、ルアーで釣るのは若干難易度が高い。因みに今回は釣り針に魚肉ソーセージを付けることで食い気をたたせ、一気に爆釣劇が始まる事となる。
テッポウウオは三品。
ガーリックフライ。トムヤム。そして、パクチーたっぷりの蒸し料理とフルコース。
どんな料理とも相性が良くさっぱりとした身質。
プラーチョン(Channa striata )
最期にご紹介するのは、スネークヘッドの仲間プラーチョン。
人為的移入種も含めるとアジア全域に幅広く生息している。タイを筆頭に食用としても重宝されており、病人に食べさせると瞬く間に元気になると言われるほどの栄養価の高い食材と認知されていた。
野池を岸からフロッグを投げ込んでいく。
数時間で2匹のプラーチョンを手にした。
先ずは唐辛子の利いた揚げプラーチョンと野菜の炒め物。唐辛子がかなり効いており、頭皮の毛穴が全開となる。こちらも滝の様な汗を流しながら頂く。非常に旨い。弾力のある身で旨味が強い。これは美味いぞ。
続いて香草を腹に詰め込みじっくりと塩焼きにした一品。タイでは定番のプラーチョン料理だ。
こちらもシンプルであるがプラーチョンの旨味を楽しめる。圧倒的にプラーチョンは美味い魚だ。
旅の最後にプラーチョンを頂いた私がその後元気になり過ぎバンコク市内で羽目を外したか否かは定かではない…
以上タイの自然下に生息する4魚種をご紹介させていただいた。
食材としての優秀さは下記の通り
プラーチョン ★★★★★
ジャイアントマッドスキッパー ★★★★
テッポウウオ ★★★
キノボリウオ ★★
ご無沙汰しているが、久しぶりにタイ行きタイと思う今日この頃である。