シャコが思いのほか釣れてしまった晩春の話(スリーエム仙台港パーク)

シャコが思いのほか釣れてしまった晩春の話(スリーエム仙台港パーク)

魚類に留まらず両性爬虫類から昆虫まで探して国内外を旅する 嬉し恥ずかしの51歳。福岡県出身・おうし座。

2021年2月13日福島県沖で発生した地震により被害を受けたスリーエム仙台港パーク。
公園内は修繕のために暫く立ち入り禁止となっていましたが、待ちに待った2022年5月12日、遂に釣りができる海沿いのデッキと入口から釣り場に繋がる通路が利用可能となりました。
以前よりスリーエム仙台港パークではシャコ釣りが楽しめるという噂を耳にしていた私はこの機会にとシャコと牛タンに誘われるがまま東京より車を走らせることにした。

 

  

シャコを釣ってみよう

その日は土曜日と言う事もありAM7:00の駐車場開放と同時に多くの釣り人達が押し寄せ、足元を泳ぎ回るイワシやサバを狙う釣り人、そしてシャコを狙う釣り人達であっという間にデッキは埋め尽くされた。

釣り広場には規則が設けられています。
尚、注意事項➁の当分の間、投げ釣り禁止と書かれていますが、管理事務所に問い合わせたところ、柵の外側でアンダースローにてちょい投げする程度なら問題ないそうです。特に週末や祭日はかなりの釣り人で混雑するため安全面を配慮して禁止されているようです。

 

シャコ専用の仕掛けを購入。
これで初のシャコ釣りも安心。エサは定番の青イソメ。3㎝程に切って複数ある針に餌を付けていく。

 

遠投はできないが15m程をちょい投げし、竿を柵に立てかけて竿先を凝視して待つ。
10分程して竿先に僅かな反応。
なんでも、ここであわせてしまうとシャコがすぐに餌を放してしまうことがあるそうで…所謂、前あたりらしい。シャコが餌をしっかりとくわえ込むまで焦らず数分待つ。

その後、竿先が小気味よく振れるかと期待するが、空しくも竿先はすっかり動かなくなる。これは餌とられたかな…ラインを巻き上げてみると。
『あっ!釣れてしまった…』
一匹のシャコが仕掛けにぶら下り宙を舞った。うれしい!

その後も早合わせで数匹のシャコが水面に上がる前に餌を放してしまった以外は順調に釣れてしまった的な形で、次々とバッカンにシャコが増えていく。
仕掛けを巻き上げる際は早巻きせず焦らず。結果、初心者でも簡単。
何となく釣れてしまうのがシャコ釣りである。

 

 

 

シャコを観察してみよう。


生きたままシャコを観察する機会は少ない。
観察水槽に入れてしっかりと写真撮影と観察を行った。観れば観る程魅力的な生き物である。

 

 

 

 

アナジャコ

 

 

オキナワアナジャコ


シャコがよく間違われるのが、上の写真の干潟に穴を掘って生息するアナジャコや沖縄のマングローブの泥の中に生息するオキナワアナジャコ。

シャコは彼等とは全く別のグループに属します。上記2種類は大きく言えばヤドカリの仲間でエビやカニとも近縁種となります。外観や生態が非常に似ているために間違えられることがある様です。

一方のシャコは甲殻類の仲間ではあるが、エビやカニ、ヤドカリとも違ったまた別のグループを形成しており、シャコ科シャコ属に属します。所謂、分類上シャコはシャコなのです。

 

 

なんといってもシャコと言えばシャコパンチが有名。
捕脚と呼ばれる所謂、カマキリの爪的な器官を使い強烈なパンチを放ちます。その威力は人間の爪をいとも簡単に割る。プラスチックの水槽を割った等信じ難いもの。しかしながら、事実シャコパンチはあまりのスピードと衝撃で水中では光を放つことさえあるらしい……まだ若かりしとき彼女が私の顔面に放った高速パンチを彷彿させます。

シャコはこの捕脚を使いシャコパンチで貝の殻を粉砕し貝を食べ、またイソメや小魚などを捕らえては海底に掘った彼らの巣穴に引きずり込んで食している。

シャコの腹部に並ぶ遊泳肢という器官。
文字通りこの器官を使いシャコは遊泳する。しかも、彼らの遊泳能力は想像以上で、かなりのスピードで移動することができるそうだ。尚、遊泳肢の先にある繊毛の様な器官で言う鰓の役割を果たしている。

 

 

尾節。
所謂お尻からの写真。非常に色鮮やかで美しい。そして全身の甲殻は非常に硬く強い。

 

 

そして、最後に頭部正面からの写真。
2本の複眼に注目頂きたい。シャコは非常に目の良い生き物。地球上で唯一円偏光というものがみえるらしい。円偏光と言われてもピンとこないが、我々人間が視えているものよりも遥かに凄い世界が視えていると言う事だろうか…

 

 

 

 

シャコを美味しく食べてみよう。

シャコ達は生きたまま東京の自宅まで持ちかえることにした。
シャコは死んでしまうと身が解けてしまうと言う。活かしたまま持ち帰り調理するか、速やかに3%ほどの塩水で10分程茹でて持ちかえるかの2択である。

生きたまま持ちかえる際は海水にエアーレーションを行い、夏場は水温が上がらないように気を遣う必要がある。VIP待遇の輸送となる。

  

持ち帰ったシャコは氷水で締めて調理を始める。
腹部の両サイドを鋏でカットして2品の調理に取り掛かった。

 

 

シャコのガーリック炒め

中国で食べて美味しかった一品を再現してみた。これはかなり美味しくお勧め。品の良いシャコの身とガーリックのパンチ力のコントラストが楽しめる。

 

 

シャコ御飯

炊き上がったら皮をむいて御飯と混ぜ込んで美味しくいただく。

シャコは海老ほどプリプリしていないが淡白で柔らかく上品な食材。中々の高級食材でとても美味しい。

 

初心者にもやさしく微笑んでくれた仙台のシャコ達に感謝。
これはいわゆる社交辞令だったのだろうか?シャコだけに…おあとがよろしいようで。

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