約170万年前ユーラシア大陸の一部であった奄美大島は地殻変動により大海原へと切り離される。元々大陸に生息していた生き物達はこの島と共に黒潮の影響を受け、温暖な気候の中で長い年月を生き続け、そして、特有の生体系を作り上げる事となる。
この島は固有種・絶滅危惧種の宝庫であり、昆虫たちも例外ではない。
今回はこの島に住む固有のクワガタたちをご紹介していきたい。
子供心を忘れない大人はカブトムシ・クワガタとは永遠の友達である。それが50歳を超えたおじさんであったとしても。
奄美大島の固有種は宝庫
上記したように奄美大島が歩んできた長い年月と環境はこの島に独特の生物相を育み、多くの固有種・固有亜種を生み出した。
世界自然遺産となったこの島の生き物達を知るには、先ずは奄美大島世界遺産センターを訪れてみよう。展示物も非常に良くできており一見の価値ありの施設だ。
奄美大島のクワガタたち
尚、今回は観察のみとし、一切採取を行っておりません。
アマミノコギリクワガタ( Prosopocoilus dissimilis)
国内最大のノコギリクワガタ。本土に観られるノコギリクワガタとは別種とされており、アマミノコギリクワガタは更に7亜種に分類される。黒い体色の個体が殆どだが赤褐色等他の体色も稀に観られる。今回は立派な水牛と小型の個体双方観察でできた。
スジブトヒラタクワガタ(Dorcus metacostatus)
上翅に明確な縦筋が観られる珍しい種で奄美大島・徳之島に生息する。奄美大島においては個体数が多く、他のクワガタと比較すると見つけやすいクワガタと言ってよいだろう。
アマミミヤマクワガタ(Lucanus ferriei)
奄美大島のみに生息する。本土のミヤマクワガタと比較すると小型で頭部の凹凸も然程でもない。体色は写真の様な赤茶の個体が殆どで、金色の微毛が生える個体は見掛けない。
この種のみミカン畑以外の場所にて、観察を行った。
アマミシカクワガタ(Rhaetulus recticornis)
奄美大島のみに生息し、シカクワガタ属の仲間の中では最小種である。大型個体の鋏が鹿の角の様に湾曲することからついた名前。
アマミヒラタクワガタ (Dorucus titanus elegans )
奄美群島に生息。近郊の徳之島にはトクノシマヒラタクワダタが生息しています。雄の湾曲した大顎が特徴的とされる。
アマミコクワガタ(Dorcus amamianus)
国内のコクワガタの仲間では最小種。本土に生息するコクワガタ程生息数は多くなく、今回も観察できた個体は僅か1個体のみとなった。
短時間でありながら魅力的なクワガタ達6種に逢うことができ大満足の遠征となる。
間もなく秋となり温暖な奄美大島からもクワガタ達は姿を消してしまう。
奄美群島には10種のクワガタが生息すると言うが、人間とは欲深いもので、次回の遠征はアマミマルバネクワガタや他の甲虫類にも是非お逢いしたいものだ。
永遠に少年心を捨てきらない貴方とは、今年も樹液酒場で逢いましょう。