3種類のスズキの見分け方

3種類のスズキの見分け方

海外釣行ツアーチルトリップ代表、世界中の魚を追いかける怪魚ハンターブラザーズの弟。 国内では、釣りのスキル向上のためできるだけ多く水辺にたち釣りをしている。「魚が好き、だから釣りをする」これが私の考え。出演テレビ“テレビ東京緊急SOS池の水全部抜く。

日本人の私達にとって馴染み深い魚の一つにスズキという魚がいます。スズキは、鹿児島から青森まで本州全域に生息しており、別称シーバスという名前で釣り人達に慣れ親しまれた人気ターゲット。沿海や湾内、河川など幅広く生息しているため東京や大阪、名古屋といった大都会でも気軽に出会える魚です。

また、スズキは出世魚であり、成長するにつれて呼び名が変わってきます。40cm以下を「セイゴ」、80cm以下を「フッコ」、80cm以上を「スズキ」と成長していき、最大だと100cmを超える大物も国内に生息しています。

 

80cmを超えるスズキをランカーと呼びます。今年の2月に釣れた個体)

 

そんなスズキも実は種類があり、形態、性格や好む環境が少しずつ異なってきます。

 

スズキ

私達釣り人の中で一般的なスズキを言い表す際は「マルスズキ」という名前で呼ぶことが多い。マルスズキは、沿海から河川にかけて広く分布しており、春先から餌を求めて淡水域まで川を遡上するのも珍しくありません。実際に私が暮らしている埼玉県までマルスズキは遡上してきて狙って釣ることができます。

産卵の時期は12月〜1月と考えられており、最も大型が狙いやすい時期は産卵に向けて荒食いをしだす10月から11月です。

基本的には夜行性で夜に捕食をする場合が多いが、時期によっては日中に行動する場合もあります。

 

 マルスズキの形態的特徴は、他の2種類に比べ体高が低く目が小さいのが特徴です。体色に関しては、マルスズキが生息している場所によって色合いが少し変化します。一般的な色合いは写真の通りで側線より上が薄い黒い色で、側線より下が銀色となっています。

 

(グレーの色とシルバーがきれいに別れているのがわかると思います)

 

(居付きと呼ばれる回遊をしないタイプ。マルスズキは黒く変色します)

 

(淡水域に長い間留まっているタイプ。まれに金色になります)

 

 

ヒラスズキ

ヒラスズキという種類のスズキも日本には生息しています。生息範囲は種子島から千葉、新潟までです。マルスズキに比べて若干南の魚のイメージです。ヒラスズキもスズキ同様に沿海から河川まで生息していますが、マルスズキのように河川を遡上し定着することはありません。どちらかというと磯場を好み、夜になると河口や砂浜に回遊してきます。

「荒磯の王者」と呼ばれこともあるヒラスズキは、時化た海を好みます。波が高く、風が強い日に磯場に現れて餌を捕食します。

 

(荒れた磯)

 

産卵時期は2月から3月とマルスズキと少しだけ時期が異なります。1年中狙って釣れる魚ですが、特に釣りやすい時期は3月から6月の産卵が終わって体力を回復するために餌を大量に捕食するこの時期になります。

 

(マルスズキに比べて全体的にシルバーです)

ヒラスズキの形態的特徴は、マルスズキに比べて目が大きく書くヒレが黒いのが特徴です。英名でBlackFinSeabassと呼ばれている理由はここにあると思います。

 

(こちらはヒラスズキの写真、尾ビレや尻ビレなどヒレが黒いのが判ると思います)

 

(こちらはマルスズキの写真、ヒレが全体的に白・黄色っぽい色に見えると思います)

 

また、下顎の部分に鱗があることもヒラスズキの特徴なので、小さいヒラスズキが釣れて種類がわからない場合は下顎の部分を触ってもらえればすぐに判ると思います。

 

(赤い丸をしている場所に鱗があるのがヒラスズキの特徴です。)

 

 (マルスズキは赤い丸の部分に鱗がありません)

 

 

タイリクスズキ

マルスズキ、ヒラスズキ、そして、もう一種日本に生息しているのがタイリクスズキです。こちらのスズキは、「タイリク」とある通り、中国や韓国、台湾など、大陸に近いところに主に生息している魚です。しかし、養殖のために海外から持ち込まれて逃げ出したタイリクスズキが定着しています。(五島列島や対馬などには自然回遊のタイリクスズキがいるとされています。)また、研究の結果ではマルスズキとの交雑種も確認されています。

 

 

(台湾の釣り堀で釣れたタイリクスズキです。)

 

タイリクスズキは他の2種類に比べて大型に成長します。1mを超える個体も多く捕獲されており、成長スピードが早いため養殖魚として重宝されていました。

 

タイリクスズキの形態的特徴は、体表に黒い点がありその黒い点が側線上もしくはそれより下にある場合がタイリクスズキといえます。しかし、マルスズキにもまれに側線よりも上に黒い点があるため見分けるのは非常に難しいです。

 

(しっかりと黒い点が側線よりも下に来ているのがタイリクスズキの証です。)

 

以上3種類のスズキの紹介をさせていただきました。私自身、釣りを通じて多くの魚と出会ってきましたが、その中でもスズキ類の魚には季節性があり、観察するのも、釣るのもとても楽しい魚です。

海外の釣りが再開したら、タイリクスズキを釣りたいなと思い日々インターネットで情報収集をしています。

日本で培ってきたスズキの知識を持ってタイリクスズキを攻略してみたいと思っています。

1 / 4