今回はインドのショアキャスティングで釣れた魚を食べてみようというお話です。
最近インドでもキャスティングの釣りが盛んになってきているので、インドアマゾンでも多くの釣り道具が買えるようになってきました。
また、一部ではキャッチアンドリリースという言葉も聞こえてくるようになり、スポーツフィッシングとして楽しむインド人も増えてきた感じもします。
2年ほど前から、日本の釣り具メーカーもインドに進出してきて、ロッドやリール、ルアーや小物まで、少しずつ買えるようになってきました。
インド人アングラーの中でも、日本製品の人気が出てきていて、売り上げも上々のようです。
今回は、日本にも生息していて美味しく食べられている魚が、この場所で釣ることがでるのだそう。せっかくなので、何種類か実際に食べてみることにしました。
今回行った場所は南インド、チェンナイからさらにボンバルディアのプロペラ機で1時間半飛んだ場所にある、タミルナドゥ州のツチコリンという場所です。
ツチコリンの沿岸部は、Pearl fishery coastと呼ばれていて、その名の通り昔は真珠が取れる有名な地域だったようです。
ひょんなことから知り合った、ツチコリン在住の塩田オーナー(以降、阿部寛に似てるのであべちゃん)は釣り好きで、ダイビングやシュノーケリング、カイトサーフィンなど多くのマリンスポーツの趣味を持ち、筋トレも欠かさず、ボディビルの大会でも優勝経験があるとかないとか。
(右側手前があべちゃん)
あべちゃんの所有する敷地にあるビーチで、いろんな魚が釣れるという情報をキャッチ。また、その浜辺にあべちゃんが趣味で建てたゲストハウスを持っているということで、釣り仲間を誘い、釣り竿を担いで行くことになりました。
彼が持っている敷地には、辺り一面が工業用・食用などの塩の生産をしていて、広大な敷地に果てしなく碁盤の目のように、塩田が広がっています。
現在の文明からはかけ離れた、手作業により塩を作っています。
また、あべちゃんの作業員たちは、その敷地の中にある村で生まれてくるので、塩田作業員の雇用に困るということはありません。
そんな敷地内を通っていくと、海岸線に出て目的地のゲストハウスが見えてきます。
なんと噂通り、玄関開けたら10秒以内で釣り場です。
手厚い歓迎を受けて早速着替えるのですが、途中泳ぐことが予想されるので、ライフジャケットに海パン、グリップ力はかなり劣るけど砂の抜けが良いという点でクロックスというスタイルになります。
波にさらわれて体制を崩すと、溺れかけたりしますので注意です。
でもライフジャケットを着ていれば大丈夫、リールを海に浸けないように気をつけてください。
タックルはシーバス釣りと大体同じですが、サンゴや沈み根で根ずれが多発するので、PE2号とリーダーに30ポンドくらいの比較的太いものを使うようにしています。
見た感じは砂浜の遠浅なのですが、浜と並行に50mごとに沈み根が入っていて、魚がいそうなポイントはいろいろありますが、今まで実績のある河口に陣取りルアーを投げ入れます。
この1投目が一番ドキドキしますね。
岬の先端に立ち、川の流れ込みと岬の先端がぶつかる一級ポイントではただ巻きやトゥイッチ、ジャーキングなどでいろいろな魚を釣ることができます。
「マングローブジャックを釣って食べてみる」
マングローブジャックはフエダイの仲間で、まさに突然襲ってくる“狩”というのがしっくりくる感じのアタリで、ロッドをしっかりと握っていないとすっぽ抜けてしまいそうなくらいです。
また、遊泳能力も高く、引きもとても強い魚でゲームフィッシュとしてはとても楽しい魚です。
顎の力も強く、ルアーに穴が開くんじゃないかと思うほど鋭い歯を持っている魚で、この魚に噛まれたルアーは傷だらけにされてしまいます。
現に、何匹も釣れレジェンドルアーに認定されたルアーは穴が空いてしまい、中に浸水して錆びておりました。
マングローブジャックは九州や沖縄でもはよく釣れていて、美味しく食べられている魚みたいなので実際に調理してみました。
刺身は意外と淡白で、弾力がある身をしていますが、この魚は火を通した方が確実に美味しかったです。
今回作ってみたのは、マングローブジャックのグリルです。
3枚におろして塩をつけてしばらく冷蔵庫で放置し、身の水分が抜けてきたら少しのバターと油を敷いたフライパンで焼くだけですが、火を通すと身がフワフワになり、ビールとの相性が抜群です。
インド人友人家族にも振る舞うと、皆さん気に入ってくれたようで喜んで食べてくれました。
「ヤイトハタを釣って食べてみる」
次に、沈み根の周りではハタ系の魚でヤイトハタ、アオスジハタ、オオモンハタがよく釣れます。
大きくなる種のヤイトハタサイズは、岸から10mも離れていないところで釣れたりするのですが、まさかこんなサイズがその辺で釣れるとは思ってもみませんでした。ルアーを咥えた瞬間に岩の隙間に戻るので、ドラグはきつめに締めて、隙間に潜られないようにゴリ巻きした方が良いですが、まあまあな確率で潜られてしまいます。
沈んだ根の上を這わせるようにミノーを通したら、沈み根の下からルアーに突っ込んできたこの魚が釣れました。60cmには届きませんでしたが、大満足の高級魚を釣ることができました。
途中取り込みに失敗して岩の隙間に潜られてしまい、隙間からなんとか出し、泳ぎ回る魚を取り込むのに一苦労しましたが、最終日の最後の時間帯でなんとか釣れた思い出の魚です。
このヤイトハタも日本ではなかなかの高級魚、せっかくなので何匹か作って食べてみることにしました。
ちょうどお手頃サイズが、立て続けに釣れました。
どうやらカニを食べているようです。
この魚たちは晩御飯用にキープして調理開始です。
1種目はヤイトハタの昆布締めです。
薄く切り、少量の塩を振ってから昆布に挟み、そのまま冷蔵庫へ。
釣りたての時はブヨブヨだった身が引き締まり、昆布の風味も合わせてなかなか美味しいです。
余った頭とアラで潮汁に。
潮の香りと魚の出汁が効いて、塩だけでの味付けでも日本を感じる美味しさでした。
どちらも新鮮な魚なので美味しくいただきました。
「ロウニンアジを釣って食べてみる」
次によく釣れる魚のGTです。
ジャイアントとは呼べないサイズのロウニンアジは、ダッシュ力が力強く、一瞬大きい魚を思わせるほどの引きをします。
日本でいうところのメッキサイズではありますが、なかなか楽しませてくれる魚です。
せっかくなのでジャイアントではないGTを食べてみました。
真鯵の気分で刺身で食べてみましたが、イメージとは違い硬く美味しくなかったので、急遽生姜とネギを加え鯵のたたき風にしてみました。
小骨が多い感じがしたので、できるだけ食べやすく細かく刻みましたが、味は淡白で脂も乗っていなく、それほど感動しなかった味です。
この魚も揚げたり、火を通したほうが良いかもしれません。
日本から干しカゴ網を持ってきてもらったので、GTの干物を作りにチャレンジしてみました。
ゲストハウスのシェフに見つめられながら釣れたお手頃サイズの魚を開きにして、
塩水にしばらく浸けて、置きカゴに入れて干してみます。
チキショウなことに、目を離した瞬間にカラスに網を食い破られ1尾持っていかれましたが
なんとか生き残った(生き残ってない?) 貴重な1尾を焼いてみることに。見た目は立派にできましたが、やはり脂が乗ってないせいか、パサパサしていてあまり美味しくはなかったです。この魚は釣って楽しむ魚だったのです。
【その他釣れる魚種を紹介】
この海域には一番のターゲットのバラマンディを釣ることができます。
ゲストハウスオーナーもあまり釣ったことがないらしく、地元でも人気のターゲットになっている魚で、僕たちもこの魚が目当てになっています。
今まで小さいサイズのバラマンディを1匹だけ釣ったことがあるのですが、小さくてもこの魚が釣れた時はめちゃくちゃ嬉しかったです。
その後、バラマンディを釣ることをずっと目標にして、足繁く通っていた釣り部のメンバーが、
しっかりと良いサイズを見事に釣り上げることができ、かなり満足な様子です。このままでは悔しいので、そのうちにまた天然バラマンディを釣りに行きたいです。
そのほかショアからこんな魚が釣れるの?という魚がいるので紹介します。
釣りクラブの会長が釣り上げた、立派なサイズのクイーンフィッシュ(イケカツオ)です。
この魚はそれほど出会う機会は滅多にありませんが、滅多にないチャンスを見事モノにできて羨ましいですね。
あと、僕も何回も悩まされた魚。
バラクーダ(オニカマス)です。
会長は見事、メーターオーバーのバラクーダを釣り上げました。
僕の場合、いくらワイヤーリーダーをつけようが、ショックリーダーを太いのに変えようが、立派そうなサイズの魚に何度かぶっちぎられているので、悲しいことに未だ釣れたことはないのですが、このサイズはこの場所で何度か上がっているので、羨ましくて仕方ありません。そのうちに作戦を練ってリベンジをしないといけない魚です。
釣り部メンバーの中では聖地と言われているこの場所は、飛行機を乗り継いで行くことになるので、最近少し足が遠のいている場所ですが、釣れる魚は多種多様で飽きることはありません。
ショアからでもこれだけの種類とサイズの魚を釣ることができ、まさしく聖地です。
ただ、いつも狙っているポイント周りに、漁師が網を仕掛けていて全くアタリがないということもあり、現地に着いてみないと状況がわからないので、多少のギャンブル性のある感じの場所になります。
そんな時は、沖の島周りに船を出してくれたりもできますが、なんと言っても地元の漁師、言葉が全く通じません。
もちろんルアーフィッシングの船頭なんてやったこともないのでしょうがないですが、そこは大袈裟な身振り手振りで伝えなければなりません。
しかし、もう一度さっきのポイントへ行ってくれとなんとか伝えようとしても伝わらず、伝わったとしても彼はもう覚えていません。
そんなことも多々ありますが、いろんな魚を釣ることができるインドの釣りの聖地、ツチコリンは最近足が遠のいていますが、そろそろ行きたくなってきました。
携帯の電波も微妙に届くか届かないかの場所で、仕事で疲れた時にしばらく滞在してみてはいかがでしょう?