ウニ、ヤドカリ
サザエ、カニ
どれも滅多に食卓に上らない高級食材だ。
釣り餌にするなんて勿体無い!って感じる方にこそ、この記事を読んで頂きたい。
イシダイとイシガキダイ
イシダイは白黒はっきりとした体側の縞模様が特徴で、岩礁帯を好む最大70cm程度の魚だ。
イシガキダイは白ベースの魚体に黒い斑点模様が特徴で、イシダイより暖かな海域に分布し最大で80cm程度まで成長する。
この2種類の魚を釣り師は石物と呼び、磯釣りの好ターゲットとして人気がある。
両種ともに、貝類や甲殻類が大好物であり、頑丈な歯でサザエやウニを噛み砕いて捕食する強者だ。
今回の記事ではイシガキダイをお手軽に釣り狙った釣行を簡単に振り返りながら、サザエやウニといった高価な釣り餌に変わる安餌をご紹介したい。
憧れの石鯛釣り
石鯛釣りは釣り好きなら一度は憧れる釣りの1つだろう。
魚体の大きさに見合わない繊細な前アタリをじっくり待つと、一気に穂先が海中に絞り込まれる本アタリに変わる。
ドラグを締めこんだタックルを煽ってカンヌキに合わせを決め込み、力と力の真っ向勝負を挑む。
これが石鯛釣り最大の醍醐味だ。
先日その道の名人に石鯛釣りのやり方や魅力を教わったので、頂いた知識をそのまま偉そうに文章に起こしてみたのだが……。
実は、その際に僕はイシダイを釣り上げることはできなかった。
僕は釣れなかったが、名人の石鯛竿が舞い込む景色を目の当たりにして、この釣りの醍醐味と奥深さに触れることができた。
今からお話しする、お手軽石物釣りを何度も体験していたからこそ、専用タックルを使う趣と快適さを体験できたつもりだ。
いつか、きっと。近い将来。石鯛竿を買ってみたい!そう、心底思わされた。
僕が愛用する石鯛釣りの道具
さて、石鯛釣りに少し興味がある方ならご存知の方もいると思うが、石鯛用の釣り具は比較的高額なものが多い。
一度、道具を揃えてしまえば他の餌釣りと釣行費用は大差無いのかもしれないが、現行モデルを新品で購入するとなると竿とリールだけでも10万円くらいは覚悟せねばならない。
始めにくいケド、始めたらハマってしまう釣りといえるだろう。
とは言え、僕のような1つの釣りをやり込むのが苦手な怪魚ハンターには身分不相応な釣りなのだ。
因みに、僕が普段楽しんでいるなんちゃってイシダイ釣りは新品6000円で購入した4号の磯竿や中古1500円で購入したグラス製の古代石鯛竿を使っている。
そんな格安釣り具たちでも、イシダイやイシガキダイは問題なく釣れる。サイズや数、なにより石鯛釣りらしい醍醐味を求めなければ、ありあわせの道具でも釣ることのできる魚なのだ。
イシガキダイを釣ってみたい
イシダイという魚は、子供のころから何かと出会う機会が多い魚だった。
サビキ釣りではサンバソウと呼ばれる幼魚が良く釣れるし、カワハギの乗合船では40cmくらいのイシダイが掛かってくることもあった。
一方で、イシガキダイは地域柄なのか大人になるまで釣れたことがなく、僕の中ではイシダイよりも憧れの強い魚であった。
イシガキダイを狙って伊豆半島へ
餌もまた、高価なサザエやウニに拘らずとも、石物を釣ることができる。
試しに、地磯の先端からムール貝を胴突き仕掛けにつけてブッコミ釣りをしてみると、半日ほどの実釣で30cm程度のイシガキダイを釣ることができた。
幼い頃、テレビ番組で見た豪快な石鯛釣りとはかけ離れていたが、シンプルに魚が居る場所で釣りをすれば、餌や道具に拘らずとも思いのほか簡単に釣れると実感した瞬間でもあった。
タックルを揃えるまではモチベが上がらないものの、石鯛釣りに少しでも興味がある方は、ぜひ僕みたいに取り敢えずムール貝を持って磯に出掛けてみて欲しい。
ムール貝の汎用性の高さに味を占める
以来、僕は海釣りに出掛けるたびにムール貝をクーラーボックスに忍ばせるようになった。
最初こそ活きたムール貝をスーパーや通販で買っていたが、なんと業務スーパーのボイル済み冷凍ムール貝でも同じような釣果が出ることに気付いてからは、もっぱら冷凍餌ばかりだ。
因みに、業スーのムール貝。500g入り1袋のお値段……。なんと。
321円!!1kg即ち2パックで642円なり。
因みに、ちなみに。最初の頃、通販で買っていた餌用ムール貝(食用不可)は1kgで1000円前後。スーパーの特売でさえも1kg800円だ。
3度目の因みに、釣り餌用サザエやウニは、値段にムラがあるが1kg2000円程度らしい。
取り敢えず釣果に拘らず、餌代を抑えたい人は業スーのムール貝はかなりオススメだ。
ムール貝で釣れた魚を振り返る
最後に、イシガキダイ以外にも色んな魚をムール貝で釣ることができているので一部を紹介したい。
きっと多くのブレコ読者は『外道ばっかりやん……』なんて思わないはずだ。
僕にとってはどれも憧れた魚ばかりだ。
ネズミフグ
八丈島でムール貝に食らいついて釣りで上がってきたのはイシガキフグと思いきや、ネズミフグだった。
見かけ通りハリセンボンの仲間で最大70cm以上に成長する。
因みに、イシガキフグとは針の長さや背ビレと尾ビレに斑点が有るため見分けることができる。
コブダイ(カンダイ)
伊豆の地磯でイシガキダイを釣っていて、あまりに餌取が多いのでムール貝を画像のように餌撒き糸で縛って放り込んでジックリと待ってみた。
すると、とんでもない大物が掛かってきたのだ。
近年では瀬戸内や大阪湾を中心に釣り物として定着しつつあるコブダイである。
こんな巨大魚も6000円の磯竿で上がってくるから安竿も捨てたものではない。
カンムリベラ
ネズミフグはこの魚を狙っていて掛かってきた。姿から想像がつくと思うがベラの仲間であり、その名はカンムリベラ。
最大で1m程度まで成長し、大型個体はでこっぱちになる。
姿に見合わず引き味は強く、釣って楽しく、見て美しい魚である。
このカンムリベラはまだ若い個体で緑鮮やかな体色であったが、真っ青な個体の釣果もネット上で何度か見たことがあり憧れていた。
そんな憧れの青いカンムリベラと出会えたのは、高知県だった。
サイズが大きかったので青く発色する個体はオスなのかなと感じたが、ベラの専門家ではないので詳しいことは分からない。
ヒブダイ
これまた高知県沖の島でムール貝を餌に釣ったベラ神様だ。
その名はヒブダイ(沖縄名:アーガイ)。最大で80cm近くなるというが、この個体はまさにマックスサイズに迫るものだった。
沖縄に行く度に密かにヒブダイのオス個体を狙っていたので、偶々であったが釣れてメチャクチャ嬉しかった。
ムール貝を使った小物釣りも楽しいぞ
勝手気ままに筆を進めていくうちに、ムール貝の五目釣り的な記事になってしまい反省しているが、業スーのボイルムール貝は本当にオススメなので悔いてはいない。
勿論、サザエやウニのように餌取に強い餌ではないので、状況次第では殻を上手く使ってあげないと釣りにならなくなるので、その点ご注意いただきたい。
まぁ、僕なら餌取が多ければ、カワハギ仕掛けとか使って餌取の中の変わった魚を狙った釣りも楽しんでしまうのだけれども。
対象魚を絞った釣りも楽しいし、その場にいる魚を選ばず釣るのもまた楽しい。
餌や道具にお金を掛けられないアングラーでも、魚釣りは充分楽しめるということが、少しでも伝わればこの記事を書いた甲斐があるというものだ。
活きムール貝を使ったイシガキダイ釣りはYouTubeでも配信中!