真っ赤なお尻のナマズ様。
ペットショップで愛嬌振りまくナマズ様。
あっという間に巨大化するナマズ様。
アクアリウム界の大スター『レッドテールキャット』が主人公を務めるお話しの始まりだ。
南米に棲む特徴豊かな大ナマズ
10cm程度で販売されるレッドテールキャットの幼魚は、まるでオタマジャクシのように可愛く、3000円程度で買えてしまう安さもあって、ついつい購入してしまう人が多い。ところが、このナマズ。写真のようにかなりデカく育つ。それもあっという間に。
試しにレッドテールキャットについて調べてみると、Googleの関連キーワードには、“大きくしない”、“盆栽飼育”、“成長速度”など大きさにまつわる単語がズラリと並ぶ。最大で1.5m程度まで成長する大型ナマズなのだから仕方あるまい。
野生のレッドテールキャットを夢見て
僕もアクアリストの端くれとして、一度ならず今でもレッドテールを飼育してみたいと思っている。
ところが、巨大な水槽を置いたり管理したりするだけのモチベーションや余裕がなくて、気が付けば現地へ野生のレッドテールキャットを釣りに行くのが先になってしまった……。という話しだ。
常連ブレコ読者の方ならもうお気づきだろう。今回の記事は人食いナマズことジャウー釣行記の続編。
サバンナを疾走するバスに揺られて辿り着いた地で、僕は大ナマズ釣りキャンプの真っ最中という訳だ。
シクラ・カタラクタエ
ピラルク釣りを案内してくれたボートマンと共に、2泊3日のナマズ釣りキャンプに出掛けていた僕たちは、ジャウーを釣り上げた後夕飯の食材を探しにいくことにした。
僕のリクエストで狙いはピーコックバス。この川で釣れるピーコックはシクラ・カタラクタエと呼ばれ、最近新種記載された種類。釣らずに帰るわけにはいくまい。
ピーコックが群れる場所があると言われ、指示された岩場にミノーを投げ込むと、いきなり食らいついてきた。
黄金色と独特な黒い斑点が特徴のカタラクタエだ!それも3人前には充分すぎるグッドサイズ。
この1匹で朝飯分もありそうなので、キープは1匹だけ。その後はカタラクタエの入食いをしばし楽しみ、キャンプ地へ向かった。
亀の卵を掘る
キャンプ地への帰り途中、突如ボートマンが砂浜にバウを向けた。
ここはアロワナがいるかもと言い放ち2人とも上陸して何やら木の棒で砂地をブスブスと刺し始めたではないか。
僕はというと、一生懸命ルアーを投げてアロワナを狙うも気配無し。ボートマンの様子を見に行くと、そこには沢山の卵が掘り出されていた。
そう、お察しの通りこれは川亀の卵。この砂浜はオオヨコクビガメという巨大亀の産卵地になっているようだ。
ジャングルの夜遊び
背開きにしたピーコックバスは豪快に丸焼きに。亀の卵はシンプルに茹で卵でいただいた。ピーコックは脂も良く乗り、歯ごたえもあって大変美味。スズキよりもヒラスズキに近しい旨さだ。
ボリビアで食べた経験のある亀の卵は、相変わらずパサパサだが全黄身でまぁまぁ旨い。
晩飯の後は、ガサ網を持ってキャンプ地の周りを徘徊するとシクリッドやカラシンの仲間を捕まえることができた。
夜釣りでは、ブラックピラニアの嵐。最初のイッピキはめちゃくちゃ嬉しかったが、釣れど釣れどピラニアばかり。
憧れの魚から餌取りに格下げ。もっというと、ルアー破壊神へ昇格。ブラックピラニア、かなりの厄介者だ。
早朝のナマズ釣り
ジャングルで野営をしていると夜明けとともに目が覚める。
朝食までのワンチャンス、キャンプ地近くのディープホールでピライーバを狙おうということで出船することになった。
魚の切り身を針に掛け、深みに落とし込むとすぐに道糸が引きずり出されていくではないか。
竿を大きく煽ってアワセを入れると地を這うような重量感…。何かとんでもない魚が掛かったのは明らかで、ディープホールを形成するブレイクにラインが擦れてしまう未来が脳裏によぎった。
ラインブレイクを心配したのはボートマンも同じだったようで、すぐさまエンジンをかけて魚の真上に向かってボートを走らせてくれた。
阿吽の呼吸とはまさにこのこと。時間をかけて上がってきたのは抱っこサイズのジャウー。
これでも、まだ中型というが僕にとっては大満足のサイズであった。
ピラニアに負けるな
野営地で朝食を取り、ピライーバ狙いのブッコミ釣りに再び出発する。
この日もよく掛かり、よくバレるクーティことマトリンシャンを釣りながらディープホールを巡っていく。
この日は、ピライーバ用の大物タックルの他に、中物タックルも使って魚種稼ぎを試みることに。ところが、ボートの近くにブッコむとブラックピラニアが入食いだ。
何度かピラニアを釣るうちに、水深の深いポイントに餌を投入するとピラニアのアタリが少ないことに気づいたので深みばかりをねらうことに。
中物タックルに強烈なアタリ
ディープホールに投入していた中物タックルから勢いよく釣り糸が引き出され、竿を手に取るとピラニアとは明らかに違う重量感。間違いなくナマズ系の引き。それも小さくなさそうだ。
これまたジャウーだと感じながら、水中の岩にラインを取られないように慎重にやり取りをしていると黄色くて真っ赤な魚影が浮いてきた!
嬉しすぎて思わず『レッドテール!』と叫んでしまった。
また1つ、目標達成
初めてみる野生のレッドテールはよく太っていて、色鮮やかで、何よりめっちゃくちゃ可愛かった。
ブゥーッ!ブゥーッ!と音を立てて鳴いたかと思うと、ジジジッと胸鰭を震わせて威嚇している。
僕がレッドテールを釣りたがっていたことを理解していたボートマン2人も嬉しそうにしながら中洲でナマズと触れ合う僕を見守ってくれていた。
次々と自分の夢が叶っていく。この快感があるからこそ、海外釣行は辞められない。