日本に生息するカミキリムシ達
カミキリムシの一部の種は貴方の庭木にも卵を産み付ける。その後孵化した幼虫が樹木の幹を食い進むことで、遂にはその大切な樹木を枯らしてしまう事も稀ではない。
しかしながら、自然下においては彼らの役割は重要。800種ほど確認されている日本のカミキリムシの仲間で、生きた樹木に卵を産み付ける種類はその内の極わずか、その僅かな種も弱った樹木や老木を中心に産卵を行っているのが実情。
カミキリムシによって大きな樹木が枯れて倒れれば、その地から新たな若い植物たちが芽吹き、所謂、森林の再生が行われる訳だ。
そんなカミキリムシたち。害虫として嫌われている一方で『森の掃除屋』としての重要な役割も担っている。
そんなカミキリムシ達。代表的な種をいくつか紹介しよう。先ずは誰もが一度は観た事あるであろう『ゴマダラカミキリ』。柑橘類樹木の害虫として悪名が高い。
こちらは『トラカミキリ』。スズメバチに擬態することで外敵から身を守ります。
こちらは『キボシカミキリ』。イチジクや桑の木を好んで産卵を行う。
日本一美しいカミキリと称される『ルリボシカミキリ』。日本を代表する甲虫の一つと称されることもあり、瑠璃色に輝く体色と黒い斑紋が最高に美しい。
そして、こちらは外来種クビアカツヤカミキリ。現在は北関東・紀伊半島に多く生息し、生息域を広げつつある。桜を好んで産卵を行う為に駆除の対象とされている。尚、上部写真は埼玉県の公園にて撮影。
その公園の桜の木には無数の木屑と糞の混じったフラスがみられた。
ラミーカミキリとは
さて、今回の主役のラミーカミキリも外来種。江戸時代末期に植物から繊維をとる為にラミー(カラムシ)を輸入した。ラミーから作り出される糸は麻の一種で、その強度は自然の植物繊維最強とされる。その素材から作られた布はかつて非常に高額で取引されたと言う。
その植物の輸入の際に一緒に日本の長崎県にやって来たのがラミーカミキリと言われている。
ラミーカミキリはその名前の通りでラミー(カラムシ)やムクゲが好物。生息地はざっと関東以南と言ったところだが、現在温暖化に伴い北上中である。
体長は1~2㎝程の小型で、その容姿は非常に美しくも可愛らしくもある。薄緑に黒の斑紋。背中の模様がジャイアントパンダ・キョンシー・顔色の悪いウエイター等にみえると評判である。
見た目と今や雑草と化したカラムシを主食とすることから外来種としては然程嫌われることなく、密かにラミーカミキリファンを増やしているとか……少なからず、私は大ファンを自負している。
さて、ラミーカミキリの写真を観て頂こう。そして、その可愛らしさに悶絶して欲しい。小さな身体に小さなウンチ。可愛らしい。
彼らは初夏に成虫として出現する。
カラムシに産み付けられた卵は孵化後、幼虫としてカラムシの茎を食い、そして枯れた茎内で越冬する。
雄雌の違いは正面から観た頭部が真っ黒なのがメス。薄緑な個体がオス。また若干メスの個体の方が大型化する。
ラミー(カラムシ)を味わう
たとえば想像して欲しい。貴方の大好きなアイドルの勧める食べ物があったとしましょう。その推しの子が食べている食べ物を食べてみたいと思いませんか?そうです!だから今回はカラムシを食ったり、装飾品を作って身に付けたりしてみます。
所謂、推し活の一環というやつです。
先ずはカラムシの新芽を食べてみる。自然界で最も強力な繊維。明日のお通じが楽しみだ。食感は香りのない紫蘇の葉を食べている様で紫蘇の葉に比べると厚みもあり、もちもち感で食べ応えがある。特に個性がなくこれと言って旨い!!と言う訳ではないが、とにかく近所に生えまくっている雑草なので無限に採取可能なのが良い。
更に、自然界最強の繊維を使って糸を作ってみよう。採取したカラムシの茎から皮を剥ぐ。数日水に浸けて皮についた茎の身の部分を腐らせて剥ぎ取る。身を削ぎ落し繊維を抜き出し乾燥・漂白を行えば、最強天然麻の糸の出来上がりとなる。
上手に三つ編み。素朴でお洒落なミサンガなんかを作ってみたりしても良い。しかしながら、自然素材最強の糸から作られたもの。ミサンガに込められた恋愛成就の願い事も中々叶わないことを覚悟しておいた方が良さそうではある。