釣りをしない人にはあまり馴染みがないかも知れませんが、北海道にはカラフトマスというサカナが生息しています。
生き物としても非常にカッコ良いのですが、食用としても優秀で、その力強いファイトは釣りのターゲットしても最高です。
今回はそんなカラフトマスにスポットを当てます。
カラフトマスがどんなサカナかと言うと…
皆さんご存知のサケの仲間で、見た目もサケに似ています。
英語名ではピンクサーモン、日本国内で食用として流通するときはアオマスとも呼ばれます。
ピンクなのか、青なのかややこしいですね笑
背中が青っぽいからアオマスです。
身はもちろんサーモンピンク。
他のサケの仲間と違い、尾びれに斑点があります。
カラフトマスは、川で産まれて海で育ち、2年の旅を経てまた生まれた川に産卵の為に帰ってきます。
ただし、サケに比べるとその辺は適当で、母川回帰率(生まれた川に帰ってくる確率)は低めです。
※母川回帰率はサケが95%以上、カラフトマスが50%〜60%と言われています。
ちょっとマヌケな魚かと思われるかもしれませんが、これはカラフトマスの能力が低いわけではなく、繁栄する為の戦略だと思われます。
例えば、産まれた川に何かあっても、どこでも繁殖出来るということですね。
状況の良い川を選んで、遡上出来ると言うことです。
そのお陰か、世界中のサケの仲間の中で最も分布域が広いのです。
そこで、国内だとどこに行けば出会えるのか?というと、
北海道のオホーツク海、太平洋沿岸が主なポイント。
先にも述べましたが、カラフトマスは川で生まれ海へ旅立ち2年ほど海を旅して大きくなって帰ってきます。
ちなみに帰って来たカラフトマスは、サケより小型の40cm〜70cmくらいが標準ですが、サケ並みの大物も居ますよ。
7月後半から9月くらいまでの時期に、主にオホーツク海沿岸の橋の上から川を覗いてみるその姿が見られます。
河川に遡上したカラフトマスの群れ
お盆時期の知床なら間違いなく見られますが、カラフトマスはヒグマにとってもこの時期貴重なご馳走で、大事な夏の栄養にもなります。
道路から離れたような人気のない所での観察は、ヒグマとの遭遇率が上がり危険なので止めましょう。
時期が遅ければ遅いほどシロザケも遡上してきて、秋にはすっかり群れはシロザケに入れ替わります。
ちなみに生まれた稚魚達は夜間に浮上し、数時間で降海してしまいます。
そのまま大冒険に旅立ち、2年後にまたどこかの川へ帰ってきます。
なので、河川で野生の稚魚を見かけることはまずありません。
僕も一度見てみたいのですが、夜間はヒグマのピークタイムなので無理ですね。
そもそも河川で稚魚を採取するのは違法行為なのでダメです。
そしてこのカラフトマスと言うサカナは、意外と身近な食材でもあるんです。
スーパーなんかで普通に売っているサケの缶詰、あれの原材料を見るとアオマスと表記されていると思います。
つまりカラフトマスですね。
某有名なサケ缶のパッケージはよく見ると、完全にカラフトマスです。
他にもサケの代用品として使われることの多い魚なので、知らずと食べたことのある人は多いのでは?
次に見た目の変化についてです。
海から帰ってきて川へ産卵の為に遡上するカラフトマスのオスは、驚くような変身をします。
これが…
こうなって…
最終的にはこんな驚きの姿に!
口がワニのように尖って、背中がコブのように盛り上がります。
鮭の仲間は全般的に河川遡上時にその姿形を変化させるのですが、カラフトマスの背中の盛り上がり方は他に類を見ません。
浅瀬を泳ぐオスは背中を水面から出し、そりゃもうカッコいいんですよ。
このことから、カラフトマスのことをセッパリマスとも呼びます。
僕は個人的に、カラフトマスの最終形態が北海道の形に似てて好きです。
ちなみに先程の画像ですが、北海道がカラフトマスに見えてきませんか?笑
産卵を終えて力尽きたオスとメス
さて次はカラフトマス釣りについてです。
先程、説明したように、夏にカラフトマスは産卵で川を登ります。
その前に河口付近で川の水に身体を慣らす為に、暫く群れで留まります。その時がカラフトマスを釣るチャンスです。
※河川での釣りは例外を除き全面的に禁止です、また場所によっては河口規制がある場合もあるので注意しましょう。
カラフトマスの釣り場の中でも、特に知床はロケーションが素晴らしいです。
特に渡船を利用すると料金は掛かりますが、地の果てに居ることを実感できるかと思います。
では、僕はルアーで釣りますのでルアーフィッシングについて説明させて頂きますね。
ルアーはスプーン、スピナー、ミノーと何でも良いですが一定の層(水深)をゆっくり巻いてこれるルアーが望ましいです。(ご当地釣法のウキルアーなんかも楽しいですよ。)
色は赤やピンクが定番ですが、青が良く釣れる日もあるので色んな色を用意しましょう。
スプーンにはタコベイトをつけるのも定番ですね。(無くても全然釣れますが。)
カラフトマスは割と岸近くに居ますので、それほど遠投する必要はありません。ルアーを投げてゆっくりとリールを巻くだけ。
これで釣れます。簡単でしょう?
ただし、カラフトマスのファイトは力強く強烈です。
あまり走らせると他の釣り人とトラブルにもなりますので、強い釣り竿、強い釣り糸で望みましょう。
釣れたカラフトマスはその辺に放置しないこと!
野生動物が狙っています。
キツネなんかは可愛いもんですが、もちろん熊も釣り人の釣ったカラフトマスを狙っています。
僕も、背後の草藪から現れたヒグマが、釣り人からカラフトマスを掻っ攫う光景を目の当たりにしたことがあります。
釣れたカラフトマスはクーラーボックスに入れて、自分の側から離さないようにしましょう。
ヒグマを誘引して、事故でも起きればそのヒグマは駆除の対象になりますし、釣り場も封鎖されてしまいますので対策は万全にお願いします。
さて、カラフトマスが無事に釣れましたら食べて楽しみましょう。
僕は鮭よりもカラフトマスの方が絶対美味しいと思ってます。
この時はヒグマの危険のない場所でしたので、現地で捌きました。
メスのお腹には、このように美しい魚卵が入っています。
ナルゲンなんかのボトルがあれば、現地で醤油ベースの調味液に漬け込んでカラフトマスのイクラの完成です。
こうなるとやっぱりご飯に載せたくなりますよね。笑
身は北海道ならではの郷土料理、ちゃんちゃん焼きで頂きます!
これまた北海道名物の石狩鍋。
白子は醤油に生姜を効かせて煮付けで。
これは白子の煮付けをハフハフしながら食べているところ。
僕の大好物です。
このように調理道具を持ち込めば、現地でカラフトマスのフルコースを楽しめます。
とっても美味しいのでお試しあれ。
※魚のアラや内臓等はクマを寄せますので、絶対にその辺に捨てないようにしましょう!
ちなみに先にも書きましたが、海へ旅立ったカラフトマスは2年で帰って来ますので毎年当たり年ハズレ年と言うのが交互に繰り返されます。
奇数年と偶数年生まれの個体群は、決して交わらないということですね。
偶数年に遡上数が多ければ、次の偶数年にも多くの遡上が期待できると言うことです。
そして釣りに関しては、漁師さんが網を上げるお盆時期が釣りやすいです。
と言うことで長々と語らせて頂きましたが、少しでもカラフトマスの魅力が伝われば幸いです!