ピーコックバス・トゥクナレ・アスーを追う『後編』 (ブラジル・ネグロ川)

ピーコックバス・トゥクナレ・アスーを追う『後編』 (ブラジル・ネグロ川)

魚類だけに留まらず、両性爬虫類・鳥類・哺乳類・昆虫まで追い求めるマルチなFielder。好きな食べ物はお米。血液型B型のおうし座。

前編あらすじ

ネグロ川に巨大アスーを求め遥々旅した我々8人。私以外は次々と大型のトゥクナレ・アスーを手にしていった。酒に酔ったしげるが毎晩私の安眠を妨げ、お陰で毎日睡眠不足。残りの釣行時間を考えると焦りの中、遂に私の毛根も限界を迎え、最近ますます少なくなった髪の毛はネグロ川に吹く風と共に飛び立とうとさえしていた。

ピーコックバス・トゥクナレ・アスーを釣る。

 



ネグロ川の生き物たち

満足いく釣果ではない日々。しかし、大自然に囲まれた此処には、多くの生命が息づいており、一日中大河を走り続ければ、釣った魚以外にも多くの生き物たちに会うことができる。

ピーコックバス・トゥクナレ・アスーを釣る。ネグロ川の生き物達。クロカイマン。クロカイマン(Melanosuchus niger)

おなじみ南米の水辺最強の生物。最大で6mにもなる。

 

ピーコックバス・トゥクナレ・アスーを釣る。ネグロ川の生き物達。アマゾンカワイルカ。アマゾンカワイルカ(Inia geoffrensis)

別名ピンクイルカ。僕らのアルミボートを追尾して魚をリリースする瞬間を狙う。

 

ピーコックバス・トゥクナレ・アスーを釣る。ネグロ川の生き物達。マタマタ。ピーコックバス・トゥクナレ・アスーを釣る。ネグロ川の生き物達。マタマタ。マタマタ(Chelus fimbriatus)

南米産の珍亀。その容姿は特徴的で今回の遠征でどうしても拝みたかった爬虫類の一つ。

 

ピーコックバス・トゥクナレ・アスーを釣る。ネグロ川の生き物達。オオアタマヨコクビガメ。オオアタマヨコクビガメ(Peltocephalus dumerilianus)

日本国内では百万円を超える価格で流通しているとか。この高価な亀を船員だけで食べるらしいが….

 

 

遂に水面が大きく割れた

釣行は残り2日、上流を目指していたマザーボートは、出港した港へ戻るため下流に向け舵を切り、ブラックウォーターの流れに乗った。

焦りを隠せない私にしげるが声を掛けてくれ、僕らは同じアルミボートに乗り込んだ。そして、ガイドのアラカに御願いして、殆ど釣り人が入っていない特別なラーゴに案内してもらうことになった。

ピーコックバス・トゥクナレ・アスーを釣る。ピーコックバス・トゥクナレ・アスーを釣る。ピーコックバス・トゥクナレ・アスーを釣る。ラーゴの入口に到着した僕等は愕然とした。ラーゴへ繋がる細い道には水が殆どなく、ボートが通るのもやっとという細さ、更に水路の周りには、鋭くそして長い棘を全身にまとうスピンニョールという植物が生い茂っていた。もちろん僅かに残る水の底にも、朽ち果てたスピンニョールが鋭い棘を残して堆積している。

アルミボートは3m程進むと、すぐに水が急激に少なくなったこと、大木が倒れ込んでいることが原因で進むことができなくなった。
渋々と船から降りた私たちの足を、スピンニョールの棘が襲う。
余りの鋭さにクロックスの底を貫通するほどであった。痛さに悲鳴をあげ、暑さに大汗をかき、つまずいて泥だらけになり、やっとの思いで1時間半ほどの苦行を終え水路を抜けた。

疲れ切った我々の前に広がるラーゴは今までとは違う空気が流れていた。遠くの岸際では大きな捕食音も聞こえる。ゆっくりと捕食音の方へ船を進め、キャストを開始。まさに一投一撃の高活性。
ジャングルの奥に深く入り組んだラーゴには、あまり釣り人が行き着いておらず、魚がほぼスレていないようだ。2人でどれくらい釣っただろうか、しげるがかけた1匹が良いサイズだった。

朝マズメを終え、魚の活性が落ち着いたところで、疲れ切った体力を回復させるための昼食。2人でボーボレータとタライーラを釣り上げると、アラカが火を付け、切ってきた木でコンロを作った。
木の上で焼ける魚を眺めながら、ラーゴでの後半戦への期待を膨らませた。

 

ピーコックバス・トゥクナレ・アスーを釣る。アマゾンの魚をアウトドアで食べる。

ピーコックバス・トゥクナレ・アスーを釣る。アマゾンの魚をアウトドアで食べる。ピーコックバス・トゥクナレ・アスーを釣る。アマゾンの魚をアウトドアで食べる。険しいラーゴを越えて昼食に戻る事も出来ず、僕らは釣った魚をその場で食べる事に。ガイドのアラカは最初からそのつもりだったようで、調味料や野菜を用意していた。
昼食中ラーゴの中央部では、2mをゆうに超えるピラルクが何度も呼吸で水面に姿をみせたが、僕らはピラルクに気を取られることなく巨大アスーに集中した。

夕方に近づき激しいスコールに打たれながら、私達3人はラーゴを一周した。帰ろうとするアラカをしげるが制止し、朝一番活性が良かったポイントだけもう一度投げたいと頼んだ。アラカもなんとか私に一本満足サイズを獲らせてあげたいと思ったらしく船をポイントに向けた。

船がポイントに近づきキャスト範囲に入った瞬間、信じられないような大きな捕食音と共に岸に50㎝程のビックーダが数匹、何物からか逃げるかの様に岸にうちあがる。ビックーダが恐れるような大物がいる!!
スイッシャーを投げ込み渾身の力を籠め引く。2投目。船から5m程だろうか….今でもその一瞬を忘れることができない。
水面が大きく爆裂しスイッシャーが姿を消した。

同時に竿にかかる重みにフッキングを入れる。船際の為ストラクチャーもなかった。ドラグを緩め慎重なやり取りの後、水面に美しい姿を現したトゥクナレ・アスー。
しげるがボガを掛けた。
ラーゴ中に響き渡る私の叫び声。
最大サイズとは言えないが約7.5㎏の大魚を抱き、今回の目的を達成した。

 

ピーコックバス・トゥクナレ・アスーを釣る。ピーコックバス・トゥクナレ・アスーを釣る。ピーコックバス・トゥクナレ・アスーを釣る。ピーコックバス・トゥクナレ・アスーを釣る。ピーコックバス・トゥクナレ・アスーを釣る。ピーコックバス・トゥクナレ・アスーを釣る。帰国した僕らはそれぞれの日常に戻って行ったが、水面が割れたあの一瞬を忘れることはできないであろう。そしてまたこの川に必ず戻ってくるに違いない。

 

ピーコックバス・トゥクナレ・アスーを釣る。

メインタックル

ロッド:Transcendence LateBloomings510+
    Fin-ch CANARIA610M
リール:アブガルシア・ラキサーニパワーシューター
              アブガルシア・ビッグシューターコンパクト 8-L
PE:4号
リーダー:60~100LB

 

 

ピーコックバス・トゥクナレ・アスーを釣る。日焼け。最後にブラジルの紫外線をあまくみると大変な事になる。てへぺーろ。

 

1 / 4