最も身近な川魚“コイ”を食パンで手軽に釣ってみよう

最も身近な川魚“コイ”を食パンで手軽に釣ってみよう

初めての1匹との出会いに最も価値を置き、世界中何処へでも行く怪魚ハンター山根ブラザーズの兄。釣りや採集だけでなく漁業者や研究者と協力してまでも、まだ見ぬ生き物を追い求めてフィールドに立つ。 テレビ東京・緊急SOS池の水全部抜く大作戦やNHK・ダーウィンが来た、TBS・VSリアルガチ危険生物などに出演したり、魚類生態調査に参加したりと幅広く活動中。

『あなたにとって最も身近な川魚は?』

と聞かれれば、コイが真っ先に浮かぶ人も少なくないはずだ。コイの棲めないような池や川は、他の魚も生息できないと言われることもある程、コイは生命力に長けている。一見すると魚なんて棲んでいそうもない住宅地を流れる用水路や、コンクリートで固められた川にだってコイは生息しているのだ。

 

最も安近短な魚釣り

 

 

今回の記事では、そんな都会に住むコイを釣りの対象魚として紹介したい。この春、魚釣りに挑戦してみたいけど、わざわざ海まで出かけるのはちょっと…。そんな方に食パンを使ったコイ釣りは最適だ。

コイは何でも食べる雑食性の魚であり、水草や貝類、甲殻類や弱ったり、死んでしまった魚まで何でも食べる。中でも人里に棲むコイは食パンが大好物のようで、一度食パンに美味しさを知ったコイは浮いている物に好奇心を抱くようになる。

 

 

釣り場探しも魚釣りの醍醐味

先ずは下見がてら、近所の川に食パンを持って出かけてみよう。コイが泳いでいればどこでも良いかと言えばそうでもない。針に掛かったコイを取り込みやすいような足場の低い場所がオススメだ。そのような場所を探しながら川辺を散歩し、コイを見つけたら食パンを千切って撒いてみよう。

因みに、荒川とか利根川といった大河川の本流よりも写真のような住宅地を流れる小規模な河川の方が、コイの生息密度が大きいのでオススメだ。利根川で食パンを撒いてもなかなかコイ達は気づいてくれない…という訳だ。

 

 

野生の生き物の警戒心に触れる

川に棲むコイ達は公園で飼育されているような手を叩いたら寄ってくるコイとは違い、すぐにはパンに食いついてこないはずだ。野生のコイは少なからず警戒心を持っているため、10分から30分ほど辛抱してみよう。食パンの香りにつられ、水面にまで浮いてきて食べ…ない。そんなことを繰り返していると、いつの間にかバクバクと食べ始める。コレは食べて大丈夫なエサだとコイは判断したわけだ。

 

そんな場所を見つけられたら、釣れたも同然だ!

魚釣りは生き物や自然を感じながら釣り場を探すことにも醍醐味があることを是非、感じて欲しい。自分なりにコイが釣れそうな場所を見つけたら、釣具店に竿とリールを買いに行こう。コイ釣りに道具の拘りは不要だ。ブラックバス用のセット道具でも、海釣りのサビキ釣りセットでも良い。コイの次にどんな魚釣りにチャレンジしたいか考えておくと良いだろう。店員に食パンを使ってコイを釣りたいこと、そして予算を伝えて道具を見繕ってもらう。竿、リール、糸、釣り針、ペンチ。コレだけ用意するのに1~1.5万円も用意すれば充分だ。重要なのは店員に食パンを使ったコイ釣りと伝えること。コイ釣りは奥が深く実に多様な釣り方や道具があり、パンを使ったコイ釣りは最も簡単で手軽な釣り方なのだ。そうそう、磯釣りなどで使用する飛ばしウキを購入しておくと軽い食パンを簡単に投げ入れることができるのでオススメだ。

 

 

いよいよ近所の川のコイを釣り上げる

 

コイが泳いでいて釣りやすそうな場所を見つけ出し、釣り具も購入した。ここまでくるとワクワクする気持ちも一段と大きくなっているはずだ。釣り場に着いたら下見の時と同じように食パンを千切って撒いてみよう。焦りは禁物、コイがバクバクッと食べ始めるまでは騒がずにジッと待ってみよう。待っている間に針に糸を結び、静かに準備を整える。飛ばしウキを使用する場合は、真ん中に空いた穴に糸を通してから針を結ぶ。とてもシンプルな仕掛けだ。

道具の準備が終わったら針に食パンを付ける訳だが、食パンにはクラスト(耳)と呼ばれる外相とクラムと呼ばれる内相がある。因みに、この記事を書いていて、パンの耳以外の白い部分をクラムと呼ぶことを知った。執筆業務は常に新しい学びがあって楽しいものだ。

そんな耳と白い部分の使い分けだが、耳の方が重たくて硬く針に付けやすく扱いやすい。特に四隅の角ばってる部分は最高だ。1枚から4つ取れるがこれを撒き餌に使うのは勿体ない。白い部分は柔らかくて軽いため、扱い辛いがコイが違和感なく吸い込むことができるため、コイの警戒心が高い釣り場ではパンの白い部分を使用する。

耳の角は写真のように豪快に釣り針に付ける。警戒心の薄れた状態のコイは多少針が見えていても食いついてくる。撒き餌は食べているのに釣り針のついたパンだけ食べないような警戒心の高いコイには釣り針が隠れるように白い部分を付ける。この時、ギュッっとパンを潰してしまうと、パンの体積が小さくなり水の中に沈んでしまう。できるだけ柔らかくフワッと付けるのがコツだ。

釣具の準備が整う頃までにさっき撒いた食パンを食べ始めていたら理想的だ。追加で5個程千切ったパンを撒き、その中に釣り針のついたパンを紛れこましてみよう。12つと撒いたパンが食べられていき…針のついたパンがジュボッ!っという音と共に吸い込まれたら竿を立ててリールを巻こう!想像以上の引きの強さにきっと驚くはずだ。

存分にコイの力強さを堪能したらペンチを使って水辺で針を外し逃がしてあげる。

きっと、『釣れてくれてありがとうね』って言葉が自然と出てくるはずだ。

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