今年の干支に会いに行こう 〜エゾナキウサギ〜

今年の干支に会いに行こう 〜エゾナキウサギ〜

北海道産まれ北海道育ちの北海道特化型。 週末は北海道中を年間6万km以上走り回り、カメラ、釣竿、ガサ網を駆使して会いたい生き物を追いかけるストーカー。 北海道の大自然の素晴らしさをもっと伝えたい! というコンセプトで活動中。

あけましておめでとうございます!
毎年のことですが北海道の冬は厳しいです。
そんな中でも僕は、魅力的な生き物を求めて奔走しております。

北海道の冬



さて今回は、今年ならではの推したい生き物について書かせて頂きます。
北海道では「3大かわいい動物」に認定されている。

シマエガナシマエナガ

 

エゾリスエゾリス


エゾモモンガエゾモモンガ


これらの動物が生息していますが(諸説あり)、「北海道では「3大かわいい動物」に認定されている。なんでこの子が入ってないの?」と、今回の記事を読み終えた後に、皆さんも思うのではないでしょうか。


それがこの生き物です。

ナキウサギえ?ネズミではないんですよ。

ナキウサギこう見えても今年の干支であるウサギです。

 

エゾユキウサギ北海道には、冬毛が真っ白になるエゾユキウサギも居ます。


耳の短いこのネズミみたいな子も、正式なウサギの仲間です。

ナキウサギエゾナキウサギ

国内では北海道にしか生息していません。
ナキウサギファンからは、ナッキーという愛称でも呼ばれています。
実はこの生き物が発見されたのは1928年のことで、まだ100年も経っていないんです。

北海道の自然を知り尽くすアイヌの伝承にも出てこないことからも、知る人ぞ知る存在だったと思われます。
ちなみに、正式な発見前には特殊野鼠なんて物騒な名前でも呼ばれていたそうです。

ナキウサギ自体は、数万年前に北海道がユーラシア大陸と繋がっていた頃に、マンモスなんかと共にやってきて取り残されたようです。

マンモス

 

あ、そういえばナキウサギの可愛らしさを伝えるのが遅れてしまいました。
まずは正面から見てください。

ナキウサギ可愛いでしょう?

短い耳、短い尾、短い足、全体的にコロンとしてて愛くるしい見た目をしています。
大きさは20cm無いくらいです。

ナキウサギ見た目通り、おっとりしてちょっと間抜けな生き物です。
会いたくなりませんか?


ナキウサギは大雪山系、日高山系、北見山地、夕張山地等の高山地帯にあるガレ場(岩がゴロゴロと積み重なっている場所)に住んでいます。
気温が15℃以上になる場所では生きていけませんので、自然と生息場所は標高の高い場所になります。
そして普段は、風穴と呼ばれる場所に隠れています。
この特殊な生息地が、ナキウサギの発見が遅れた原因です。

ナキウサギの生息地風穴とは複雑に入り組んだ岩と岩の隙間ですが、冬の間に入り込んだ雪が内部に残っており、奥の方は永久凍土となっています。
僕も手を入れてみたことがありますが、夏でもひんやりとしていました。

この風穴は暑さからもナキウサギを守ってくれますが、同時に天敵であるオコジョやテンやキタキツネからも守ってくれています。

キタキツネ
なので、ナキウサギを探す時は、風穴のあるガレ場がポイントになります。
怪しい場所を見つけたら立ち止まり、しばらく耳を澄ませてください。
ピチッピチッと、甲高い鳴き声が聞こえてきたら、近くにナキウサギが居る証拠です。
この時ばかりは、いつもは心地よい鳥の囀りが邪魔で仕方がありません。




そしてもう一つのポイントが「うんち」です。

ナキウサギ 糞コロコロとした丸いうんちは、皆さんご存知のウサギのうんちと似ていますね。
このようにナキウサギは、同じ場所で溜め糞をする習性があります。
なので、可愛いうんちの山を見つけたらナキウサギに会える可能性大です。

ここまで来たら、ナキウサギに出会うまでもう一歩ですが、一番重要なのが根気です。
よく運次第とも聞きますが、僕はナキウサギに会いに行って会えなかった事が殆どありません。(時間に制限がある時や、雪で風穴が埋まっていた時は流石にダメでした。)

目と耳をフル活用して根気良く待つ。
これで、きっと日向ぼっこや食事に現れた可愛らしいナキウサギに出会えるでしょう。

ナキウサギ
時期的には繁殖期で鳴き声の多い5〜6月、貯食で忙しい秋がお勧めですが、厳冬期以外なら大丈夫だと思います。(ナキウサギ自体は冬眠しませんが、貯め込んだ食料で引きこもり生活をしています。)

ナキウサギ
基本的に標高の高い場所なので平地より暖かい格好と足元はトレッキングシューズで探してみてください。
ナキウサギは警戒心の強い生き物なので、気配を消して風穴から出てくるのを待ちましょう。
ただし、ナキウサギは見た目通り間の抜けたところも愛すべきポイントです。

ナキウサギ全身迷彩という、本気すぎる格好で待ち構えていた僕に気が付かず、至近距離で30分近くも食事をしていたナキウサギも居ました。
この時は僕が限界になり、ごほんと咳払いをしたところ慌てて風穴へと戻って行きました。

ナキウサギ他にも、僕のすぐ足元の遊歩道に間違えて出てしまい日光浴を始めたものの、少し経ってこちらに気がつき、バツが悪そうに風穴に戻って行った子もいます。

ナキウサギ警戒心が強くてもちょっと間抜け。
そんなユーモラスな子です。


ナキウサギ

最後に一番重要なことです。
ナキウサギは前述した通り、非常に特殊な環境でしか生息出来ないですし、食物連鎖の底辺に居る非常にか弱い生き物です。

ナキウサギ

観察の際は騒がない、見つけてもズカズカと近づかない、ゴミを捨てない、餌付けしない、餌となる植物を荒らさない。
現在はまだ準絶滅危惧種で留まっていますが、生息場所の環境が悪くなれば簡単に居なくなってしまうことでしょう。
なので、以上のことは厳守お願いします。


それでは卯年の今年も、BLECOLとナキウサギをよろしくお願いします。
皆さんもユーモラスで可愛いナキウサギに出会えますように。

ナキウサギ

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