小物釣り最強の餌とりモツゴを語る(東京都)

小物釣り最強の餌とりモツゴを語る(東京都)

魚類に留まらず両性爬虫類から昆虫まで探して国内外を旅する 嬉し恥ずかしの51歳。福岡県出身・おうし座。

東京都のとある公園。タイリクバラタナゴを狙って餌の黄身練りを投入すると、恐ろしい数の魚の影が一斉に襲い掛かり、一瞬で餌が消え去った。犯人は小物釣り最強の刺客『モツゴ』である。

モツゴに弄ばれ続け寒空に哀愁さえ漂う。

 

 

 

モツゴとは

護岸工事や水質の悪化等、環境の悪化に適応力が強い、コイ科カマツカ亜科モツゴ属の魚。近似種にシナイモロコ・ウシモロコといった希少種がいる。

関東近郊では『クチボソ(口細)』と呼ばれており、その小さな口を使い、釣り人達の餌を奪い取る、餌取名人だ。体色は通常は白銀色で側線に沿った黒い線が尾から口元まで観られ、口元に髭はない。

 婚姻色が出ていない通常色のモツゴ。側線に沿って入る黒い線が特徴。

 

婚姻色の出た雄の個体。黒い婚姻色が素晴らしく美しい。(安藤司朗氏提供)

 

繁殖期は4月から8月で雄は黒い婚姻色に彩られ口元に追星が現れる。その際、オスは水草のゴミなどを自ら除去し産卵場を作り、メスがその水草に産卵する。オスは産卵場に残って産卵場を守り、更なる新しいメスの産卵まで促す。この一連の産卵行動が爆発的な個体数増加につながっている様だ。そして、関東地方では佃煮の材料とされているが、近年はモツゴを漁で捕ることは殆どなく、佃煮としての材料としては非常に高価なものとなっている。食するとほどよくお腹の苦みが感じられるので評価がわかれるそうである。

 

 

モツゴを釣ってみよう

 結果から言えば餌取りの天才達に対し針を小さくすることにより爆釣劇が始まる。成体で10㎝程になるモツゴを4~5㎝程の小振りサイズで数を揃え、午前中から始めた釣りもまもなく日が暮れようとしていた。

餌はアカムシ、グルテン、今回使用した黄身練りでもよい。基本雑食性で食欲旺盛なので数釣りを楽しむには格好のターゲットになるであろう。

夕日に照らされたバケツには数百のモツゴ達が元気に泳いでいる。

その日のポイント。微かな流れはあるが、ほぼ淀んでいる。

 

ストラクチャー周り足元で集中してアタリが連発する。

 

カワセミも何度か見掛けた。この周辺に小魚が多いと言う事だろう。

 

モツゴ以外にはスジエビが稀に針にぶらさがってくる。

 

 

 

モツゴ料理

 ≪モツゴの押し寿司≫

数日間綺麗な水で泥を吐かせたモツゴを酒・醤油・みりん・砂糖で煮たものを酢飯の上に几帳面に並べ、一晩馴染ませた押し寿司。醤油の香り、モツゴの微かな苦み、酢飯の甘さのバランスがとても良い。モツゴと酢飯の食感の違いも面白いぞ。

 

 

≪モツゴの塩焼き≫

モツゴ本来の味を確かめるべく塩焼きで頂く。臭みは無い。お腹の苦みも含め総合的な味はマイルドなめざしと言ったところだろうか。酒の肴に丁度良い。

 

 

≪モツゴ煮干しで出汁をとったお味噌汁≫

熱湯にさっと潜らせたモツゴをヒーターやドライヤー等で一気に乾燥させ煮干しを作る。この煮干しを使ったお味噌汁を頂いてみた。淡水魚なので塩味が少なくマイルドな感じだが出汁はしっかり出ている。お腹の苦みは出汁に沁み出ることはなく飲みやすい。

 

 

季節はすっかり春。

間もなくモツゴの雄たちも美しい婚姻色を魅せてくれる時期です。近場の水場に逢いに行ってみましょう。

 

※淡水魚を食べる際は寄生虫のリスクを考慮し、水の綺麗な場所で採取し、加熱処理を行って頂くようにお願いします。

1 / 4