いよいよ本格的な冬の到来。芯まで冷えた身体を温めるのは、愛しい貴方の人肌、ダチョウもびっくりの熱々のおでん、そして湯煙立ち上る温泉と相場が決まっているとか。
さて、長野県・地獄谷温泉ではニホンザル達が温泉に浸かり身体を温めているスポットがあるそうだ。なんでも世界的に観ても珍しいケースだそうで、早速サルたちが温泉をたしなむ姿を観に行ってきた。
地獄谷野猿公苑。駐車場は無料。車を停めて1.6㎞の山道を歩く。途中、運が良ければニホンカモシカやニホンリスにも逢えるそうだ。山道は舗装されていない箇所が殆ど。気を付けてニホンザル達が浸かる温泉郷へと進んでいこう。
ニホンザルとは
はじめに、今回の主役ニホンザルについて簡単に知っておこう。
世界には180種ほどいるサルの仲間。日本に生息するサルは、このニホンザルの一種類で、北海道・琉球列島以外の日本列島の広葉樹林を好んで広く分布する。メスは13㎏、オスは15㎏程まで成長するが、寒冷地のニホンザルの方が大型化する傾向がある様。
食性は雑食性で、春は植物の新芽、夏は昆虫や木の実、秋は木の実や果樹、そして冬は木の皮や芽を食べて一年を乗りきる。
また、ニホンザルのオスは大人になる前に群れを離れ、男一匹で生きていくか?他の群れに加わるかの選択をする。その為、群れの構成は僅かなオスと数多くのメスや子供達となる。群れは100匹以上の大所帯となるが、群れの中にはボス猿がいて、ボス猿を中心とした社会性(序列)が存在している。
地獄谷野猿公苑へ
さて、サルたちの温泉場に向けて山道を進もう。地獄谷温泉の真冬は全てが凍りつき、雪に覆われる酷寒の地。幸いその日は、その厳しい冬にむかう初日と言ったところで、雪が降ってあちらこちらに積もってはいたが、まだ、普通の登山靴で問題ないほど。30分程で地獄谷温泉の入口へ到着した。
地獄谷温泉入口の奥には地獄谷温泉唯一の宿・後楽館があり、日帰り入浴も可能だそうだ。こちらの露天風呂にもサルが訪れる事があるそうで運が良ければメスのニホンザルとの夢の混浴?が楽しめるらしい。
地獄谷温泉入口を過ぎるとニホンザル達が姿をみせ始める。人間を恐れているような感じがなく、容易に写真を撮ることができる。
後楽園を過ぎ右手の階段をのぼると、いよいよ地獄谷野猿公苑の入口だ。入場料を支払い中へと進むとすぐにニホンザルたちの浴場を観ることができる。
その日の温泉は大盛況。数多くのニホンザル達が訪れていた。
疑問に思うのは、温泉に浸かったニホンザルたちがお湯から上がればそこは酷寒。彼らは湯冷めしないのだろうか?
実はニホンザルの毛は非常に油分が多く水をはじきやすい。汗腺が人に比べると少なく汗をかきにくい等の理由で湯冷めしにくい体質なのだそうだ。
よく見かけるニホンザル達の毛づくろい。サル同士のコミュニケーションやシラミやシラミの卵を取り除くために行っている。
ニホンザルの顔やお尻が赤いのは皮膚が薄く皮膚下の血管が透けている為。
また、お尻にみえる2つの尻ダコ。これはその薄い皮膚のお尻を座ったときなどに守るためのものだ。
温泉に陶酔するニホンザル達
雪が降り続く中、次々とニホンザルが訪れ温泉に浸かっては極楽浄土に昇天したような表情をみせてくれる。まさに人間のその様と同じだ。
まもなくニホンザル達にとって最も厳しい季節。酷寒の地に真冬がやってくる。
地獄谷温泉から10分程車で下ると湯田中渋温泉郷がある。
此処ではアニメーション『千と千尋の神隠し』の湯宿のモデルとなったと噂される旅館・金具屋を眺めたり、温泉街に並ぶ9つの共同浴場などが楽しめる。旅館によっては信州サーモン・イワナ・ヤマメ・シナノユキマス等の淡水魚料理も満喫できる。
貴方も極楽浄土へ昇天するような表情で温泉に浸かってみては如何でしょうか?