無尾目(カエル)・無足目そしてイモリやサンショウウオの仲間で構成される有尾目。この三目から構成される両生類。爬虫類も含めたその歴史は非常に古く約3億5000年前古生代デボン紀にイクチオステガが陸に上がった事から始まる。
今回はその両生類の中でも最大の大きさを誇る有尾目オオサンショウウオをご紹介させていただく。
オオサンショウウオとは
有尾目オオサンショウウオ科オオサンショウウオ属に属す日本最大の両生類。約2000万年前の新生代よりその姿を変えず現在まで命を繋ぐ『生きた化石』と言われる。
生息域は岐阜県以西の本州、九州の一部に生息している。全長は180㎝と記した書物もあるようだが、実際は飼育個体で150㎝。自然下では1m以下と言ったところだろうか。
食性は肉食性で魚類・甲殻類・貝類等と目の前を通過する生き物を貪欲に捕食し巨体を維持している。
尚、この巨大なオオサンショウウオの仲間は日本のオオサンショウウオを含め世界に3種が現存するが、残り2種はアメリカオオサンショウウオとチュウゴクオオサンショウウオである。
現在国内においては日本のオオサンショウウオがチュウゴクオオサンショウウオとの交配が進み問題視されているのは有名な話である。
瑞穂ハンザケ自然館
先ずは情報収集を兼ねて瑞穂ハンザケ自然館を訪れよう。ハンザケとはオオサンショウウオの別名でハンザキとも言うが、その理由は、半分に避けても再生して生き続けると言う迷信、もしくは頭部が裂けるほどの巨大な口が名前の由来、という言う2通りの話からその名前が付いた様だ。館内にはオオサンショウウオの生態に関しての記述や巨大オブジェ、オオサンショウウオの生体も展示されており非常に興味深い。
瑞穂ハンザケ自然館のHPはこちらから
館の受付の女性に話を聞くと瑞穂ハンザケ自然館の脇を流れる河川もしくは3kmほど離れたハンザケ観察舎の近郊でオオサンショウウオが現れる確率が高いそうだ。
しかしながら観ることができるのは殆どのケースで夜間。
オオサンショウウオを探す。
16:00をまわった頃に瑞穂ハンザケ自然館を跡にして直ぐ近くの河川に降りる。夜になるまでの時間潰しだ。何気なくあたりを見回すと….
なんとも呆気なく足元の水中に現れたオオサンショウオ。運が良過ぎだ。しかも、オオサンショウウオ発見と同時に待ち合わせしていた友人がOLYMPUS Tough TG6(水中撮影可能)を持ってやってきた。
早速2人で撮影会を始める。BRECOLでも過去にご紹介させていただいたアマミノクロウサギ・朱鷺・コウノトリと同様でオオサンショウウオも特別天然記念物。通常は捕獲どころか触る事さえ許されない。
『保存影響を及ぼす行為』に該当しないように気を付けて撮影を続ける。
先ずは頭部を観てみよう。頭部は非常に大きく、その大きな頭部を裂くように巨大な口がある。この大きな口で獲物を丸飲みにする。目は非常に小さい。また、鼓膜やカエルの仲間に観られる耳腺の様な器官は確認できない。聴神経により音などの振動を感じ取っている様だ。
皮膚の色は茶褐色に黒い斑紋が入り水中のコケが生えた石や倒木などと同化する保護色となっている。
また、オオサンショウウオの呼吸の多くは皮膚呼吸に頼っている。皮膚呼吸で酸素が十分に取り込めない場合のみ頭部を水中から出し鼻孔より肺呼吸を行う。身体の側部に観られるびらん状の皮膚は体面積を増やし皮膚呼吸をより容易に行うためのものだ。
オオサンショウウオは危険を感じると皮膚より独特の臭いを発する白い粘液を出す。この粘液が山椒の香りに似ている事が名前の由来になったとの説がある。
四肢は非常に小さい。指は前足4本、後ろ足が5本だ。移動に関しては鰭状の長い尾を使い身体をくねらせるようにして水中を泳いで進む。
オオサンショウウオを含む有尾目。現在サンショウウオの仲間は44種に分けられている。移動する力に乏しい彼らは限られた場所で長い年月を過ごし地域環境に適すように進化し、そして分化していった。
BRECOLでは他の小型のサンショウウオに関してもいずれ紹介させていただくことになるだろう。