貝類は軟体動物の仲間で、巻貝・二枚貝・ツノガイ・頭足類・多板鋼・単板網・無板網の7グループに大別される。単板網・無板網は中々観る機会がないが、他のグループは案外身近な存在。
下記に簡単にご紹介する。そして今回の主役は、原始的な形態を残したグループ、多板鋼ヒザラガイの仲間だ。
巻貝
写真のイボニシ貝やサザエ、クリオネ(幼生時に貝をまとう)等を含むグループ。アワビ等の巻いてない貝も実はこのグループに属す。
二枚貝
アサリや、以前BRECOLの記事でご紹介したオキシジミ・シオフキ・タイワンシジミ等を含むグループ。
ツノガイ
水牛の角のような形状の貝殻をもつ。掘足綱とも呼ばれる。
貝殻をもたない貝の仲間・頭足類
イカやタコ・オウムガイなどを含むグループ。イカやタコもなんと分類上は貝の仲間である。
ヒザラガイとは
ヒザラガイは案外身近な存在。皆様も一度は見掛けた事があるとは思います。
こちらが今回の主役ヒザラガイ。ヒザラガイにもいくつかの種類がいます。こちらは色鮮やかなニシキヒザラガイです。
さて、ヒザラガイの種類で構成される多板鋼。そのグループの化石は約4億年前以上の化石からも発見されている。ほとんどの種は体の中央に縦に軟体動物最多の8枚の殻をもつ。また、岩などにへばりつき、非常に吸着力が強い。非常にゆっくりではあるが吸盤に似た足を使い移動し、触覚とその後方にある歯舌という器官を使い岩についた藻などを食べているとされる。
この歯舌は通常生物が作り出さないとされる磁鉄鉱という鉱石が含まれている事が近年発見された。つまり、口内に金属の歯を持つという訳だ。
ヒザラガイを捕まえよう。
*貝類の採取は漁業権と使用可能道具をしっかり調べたうえで行いましょう。
潮が引いたゴツゴツした岩場の隙間に彼らは姿をみせてくれる。日本には100種類ほどのヒザラガイが生息しています。きっと見つけることができるでしょう。
神奈川県はヤス、磯がねの使用は許可されています(夜間・水中眼鏡の併用は不可)。今回は代用でマイナスドライバーを使用しました。岩とヒザラガイの隙間に素早く差し込み一気に剥がしましょう。
ケハダヒザラガイではなかろうか。ヒメケハダヒザラガイと比較すると8枚の殻のバランスも小さい。
こちらはヒザラガイと同所でよく観られる巻貝の一種、マツバガイ。どうみてもヒザラガイより美味しそうではあるが、今回はスルー。
居る所にはかなりの密度で生息している。30分程で食べるには十分のヒザラガイを確保した。
ヒザラガイを食べてみよう。
持ちかえったのはニシキヒザラガイ、ヒメケハダヒザラガイの2種。先ずは下茹でをして殻を剥ぐ。
ニシキヒザラガイは比較的大きな個体が多く食べ応えがありそうだ。
下茹でをして殻をむくとこんな感じ。まるで芋虫の形状になり果てる。身の外側に一周残っているのは、鱗の様な小さな殻の集合体の様なもの。この部分は食べた際に口に残りますので、綺麗に取り除いて下さい。また格子のように並ぶヒダの中に内臓があります。砂を噛んでいる事があるので取り除きましょう。足側に切れ込みを入れると取り除けます。
内蔵まで取り除いた状態がこちら。左がニシキヒザラガイ。右がヒメケハダヒザラガイ。なんとも緑色の身が新鮮で食欲をそそり….
いよいよ下処理も終え調理に掛かる。ヒザラガイは短時間に火を通すと固くなります。じっくりと火を通しましょう。今回は下記の4品全て一時間以上火を通しました。
先ずは前菜のヌタ。ヒザラガイは若干固いかな?程度。良く言えば歯ごたえがある。味はアワビと言ったところか?酢味噌との相性は非常によくヒザラガイ料理お勧めの一品。
続いては醤油、酒、みりん、砂糖(少々)で煮つける。これまた負けず劣らずで美味しい。弱火で長時間煮て硬さも気にならない。ヒメケハダヒザラガイは全て煮つけにしたが、ニシキヒザラガイとの食感・味の違いは感じず。
ビジュアルを最大限に駆使したにぎり寿司。寿司ネタにするには硬い….フワっとしたシャリとのバランスがどうにも悪い。
〆の一品。燻製ヒザラガイ燻製チーズを添えて。水分が抜けて硬いゴムを食べている様だ。チーズはとても美味しかったのだが….
以上4品。調理方法によっては高級な貝の味を満喫できた。機会があればアレルギーなどには十分注意したうえでお試しあれ。