ゴールデンゼブラシクリッドが生息する水路を観に行った (神奈川県)

ゴールデンゼブラシクリッドが生息する水路を観に行った (神奈川県)

魚類に留まらず両性爬虫類から昆虫まで探して国内外を旅する 嬉し恥ずかしの51歳。福岡県出身・おうし座。

朝日を浴びて目覚めのコーヒーを飲みながら朝のニュースを眺める。なんという清々しいひと時。しかしながら、戦争、値上げ問題、4630万円の誤送金問題、等々朝のコーヒーが苦くなるようなニュースが並んでいる。

そんな中、脳が覚醒するようなニュースが流れ始める。関東圏の外来魚問題だ。ニュースの内容は関東のとある水路2か所に高濃度浄化排水が流れており、其処にグッピーやアフリカンシクリッド(ゴールデンゼブラシクリッド)が定着しているというではないか。

全国的に温排水等に定着しつつあるグッピーはさておきアフリカンシクリッドは非常に気になる存在。早速、報道された場所の特定を急ぐこととなった。

 

温泉地や温排水で最近見掛けるようになった南米原産のグッピー。写真の個体は九州別府温泉近郊の河川に定着していた個体。昔、寂しい熱帯魚などという歌謡曲があったが、全く寂しさを感じさせないほどの数が生息している。

 

放送された水路の様子を手掛かりに手当たり次第に水路を探す。
しかしながら、これが中々難しい。

数日が経過したが、最後は信頼できる情報筋より有難く詳細を入手し、ポイントに向かうことになった。

 

アフリカンシクリッド(ゴールデンゼブラシクリッド)とは

ゴールデンゼブラシクリッドはアフリカのマラウィ湖原産の小型シクリッド。マラウィ湖の水質はアルカリ性、そこに生息する彼らもアルカリ性の水質に適応している。そして、そのマラウィ湖には、なんと約800種のシクリッドが生息しているそうだ。それらも含めたアフリカに生息するシクリッドを総じてアフリカンシクリッドと呼ぶが、ゴールデンゼブラシクリッドはその中の1種で観賞用に非常に人気のある代表格である。また、メスと幼少個体の体色は鮮やかな青。雄のみが成長と共に大きくなりオレンジ色へと変化すると不思議。そして彼らは産卵した卵や稚魚を口に入れ外敵から守るマウスブリーディングという形態で育児活動を行う事でも有名である。

 

いざ水路へ

やっとたどり着いたポイントは住宅街の中を流れる美しい水路。時折人や車が通るほど。川には錦鯉やオイカワ類が泳いでいた。先ずは水路の中を覗きながら歩く。

驚くほど呆気なくターゲットは見つかる。しかも、恐ろしい程の数が….青い個体も雄として成熟しオレンジ色に染まった個体もかなりの数が生息している。

持ち合わせたタナゴ竿と仕掛けにミミズを小さく切り水路に流す。水路脇の石の影から飛び出してきてすぐに針掛り。あっという間に10匹近くを採取し目的を達した。

短時間で入れ食い状態となる。
成体の雄・雌の双方を観察してみる。

こちらはメスなのだろうか?青い体色が美しい。このゴールデンシクリッドもいくつかの魚類と同じように幼体時は全てメスで一部の個体がオスに変異するのだろうか?何れにしても魚類において成熟期の過程において性転換を行う種はそう珍しくない。

こちらは成熟した雄。更に美しくなる。特に尻鰭の斑紋が目を引く。

 

さて、この水路で彼らが定着した理由として下記の様に考えられる。

➀浄化排水の影響で水温が安定しており越冬を可能にしている。

➁住民の方が錦鯉などを放流し管理することによって他のフィッシュイーターが生息していない。住宅地の中を流れているため鵜やサギなどの飛来が少ない。

➂水路の両側に並ぶ石の隙間が隠れ家となり生息環境を更に良くしている。

 

 

 

 

 

ゴールデンゼブラシクリッドをアフリカ料理風で頂いてみる。

さて現地では食用とされるシクリッド。折角なので美味しく頂いてみることとする。アフリカの魚なのでクスクスや焼き野菜と共にアフリカ料理風に….とはいっても魚自体は本来の味を楽しみたいので素揚げに塩を振る程度にとどめた。

 

しっかり揚げたにも関わらず背びれが口内に刺さり非常に食べにくかった以外は臭みもなく美味しい白身。

悪くはないが魚自体が小さいので食用に向いているかどうかは微妙である。やはり水槽を優雅に泳ぎ回る鮮やかな体色を楽しむに越したことはなさそうだ。

 

 

現在、この水路はマスコミなどに取りあげられたことにより、多くの人が押し寄せ、地域住民の方々と水路を監理している組合によって釣り禁止となっているようです。

 

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