インドの怪魚で有名なグーンシュキャットフィッシュと並んで、人気のターゲットとなっている魚がゴールデンマシールです。
金色に輝き、大きくなれば2メートル以上、50kgを超えるサイズになるようです。
この魚は友人が釣った1mちょうどのゴールデンマシールです。
濁りがものすごく、諦めかけていたところいろんなルアーと試しながら根性で釣れた見事な1匹だったようです。
Tor属の魚は東南アジア、南アジアに16種類いるらしく、その半分の8種類がインドに生息しているようです。
今までインド国内でそのうちの3種類のマシールを釣っているのですが、今回はマシールの中でも一番有名で人気のあるゴールデンマシール(Tor Putitora)を紹介します。
(※よくマハシールと呼ばれていますが、英語表記ではMahseerと書き、インドではマシールと呼ばれています。どちらかというとマーシールに近い発音になります。)
現地では「神の魚」と呼ばれていて、そんな恐れ多い魚を釣っても良いのかな?と思ったりもしますが、インド人の間でも人気のゲームフィッシュになっているので問題ありません。
インド人のフィッシャーマンの間でもキャッチアンドリリースを勧めていてしっかり保護されている魚です。
今まで3ヶ所のフィールドでゴールデンマシール釣りましたが、今回はデリーに比べて水と空気が100倍きれいなネパールとの国境近くにあるキャンプに行ってきたお話です。
このフィールドはあの有名な王様が釣りの番組で訪れていた場所で、偶然にも同じキャンプ地でした。王様がインドにいるという情報をキャッチし、釣行からデリーに戻ってきた王様をなんとか捕まえて話を聞いたところ、もう2度と行きたくないというくらい過酷な旅だったようです。
車で行くとデリーから500kmあり、Googleマップの見積もりで12時間予定ですが、実際の交通状況や休憩などを含め15時間くらいかかる場所で、さらに道中の半分くらいは山道で、でこぼこ道の危険極まりない場所を進まなくてはなりません。
途中、隣の山では大規模な山崩れが起きたと思われる痕跡を横目に見て、雨季の時期に崩れ落ちてきたと思われる、いくつもの大きな岩の横をドキドキしながら抜けていきます。しかもこの先延々続くかのうように、何度も同じような光景を見ながら進みます。
そんな場所を乗り越えてしばらくすると眼下に一気に絶景が広がるのですが、15時間の間ほとんど寝ていない状況でも一気に疲れが飛んでいきます。
ちなみに写真右側の山はネパール側になります。
着いた場所はマシールフィッシング用に設立されたキャンプ地で、ここにはフィッシングガイドも常駐しています。
残念ながらインドでガイドをお願いすると、ほとんどのガイドが一生懸命釣りをして、お客さんは放っておかれてしまうことが多いのですが、ここのガイドは飲み水とランディングネットを持って付いてきてくれ、釣りの邪魔は全くせず本来のガイドに徹してくれます。
時間になれば休憩時のスナックやお昼ご飯も持って付いてきてくれます。
キャンプ地では設営されているこんなテントで宿泊します。
残念な点といえばテントまで電気は引っ張られていなく夜は真っ暗になってしまうこと、友人のテントの中にサソリが紛れ込んでいたことなどがありますが、それ以外は快適に過ごすことができます。あとはトイレに手のひら大の蜘蛛がワサワサいたりしますが、彼らは何もしないので我慢してください。
着いたらすぐに昼ごはんを食べろと言われ、無理やりご飯をねじ込みながら終わらせ、はやる気持を抑えてタックルの準備をします。
大物が釣れることを想定してラインはPE2号、ショックリーダーは30ポンド以上を使います。
川幅が広い場所もあるので、7ft以上あり1ozくらいまでのルアーが投げられるロッドが良いかと思います。
川の流れも押しが強く急な場所もあり、大きい魚が流れに乗ってしまうとランディングまで時間がかかってしまいバラしてしまう可能性もあるので、できるだけパワーがあるロッドがおすすめです。
ガイドのおすすめで、ここではジョイントミノーをよく使うみたいですが、僕たちの遠征する時期がずれているのか、今までミノーではほとんど釣れていません。
その時の水深や流れの速さによってスプーンの重さやカラーを使い分けるくらいです。
デリーではほとんど見ることができない埃まみれじゃない緑と澄み切った青空、きれいな透き通った川を見るだけで癒されます。
そんな場所のすぐ横がキャンプ地になっていて、準備さえできていればいきなり釣りできる環境になっています。
王様がメーターオーバーを釣ったポイントを横目にそれぞれ思い思いのポイントに散っていきます。
王様が釣った時よりは水量が多く急流すぎるので断念し、比較的緩やかなポイントからスタートしました。
川岸は砂利と玉石がゴロゴロしていて、その石を見てみると何者かによって苔が削られているのが見られます。ガイドが言うにはマシールが苔を削り食べているらしいです。
そんなゴロタエリアでは大きな岩が入っている場所が所々あり、パターンがつかめると連続で釣れることもあります。こういう場所ではあまり大きい魚は釣れませんが、40cm〜60cmのサイズがよく釣れました。
川の流心でも釣れますが、スプーンをドリフトさせながら沈んでいる岩の裏側で反転させるような流し方がよく釣れました。
鱗が大きく、その鱗をずっと眺めてられるくらいとても綺麗な金色をしていて、何度見てもきれいかっこいい魚です。
ゴールデンマシールはルアーへのアタリ方が意外と激しく、アタリの瞬間はかなりびっくりしてあわせも早くなりがちなので注意してください。
しかもフッキングした後にこちらに向かって泳いでくることが多くリールの巻きが軽くなるので一瞬混乱しますが、ちゃんと魚は付いているのでフッキングした後はバラさないようにできるだけ早巻きが良いので、ハイギア以上のリールをお勧めしています。
それと、友人が大きい魚をバラしてしまい、フックをみたら見事に曲げられていました。この魚も顎の力が強く、ルアーに最初から付いているフックだと曲げられてしまう可能性があるので、太軸のフックに交換をお勧めします。
1級ポイントと思われる場所まで行くのには急流を横断して渡らなければならず、少しの機動力と少しの勇気が必要です。
ワクワクが先行してしまうので行かないわけには行きません。
しっかりしたガイドの兄さんが後ろをついてきてくれるので安心して向かうことができます。
そういう1級ポイントを見つけてしまうと期待が膨らみ、恐らく川を渡ってしまう状況になりますので、ウェーダーよりもウェットウェーディングスタイルの方がお勧めです。
というのも、膝下くらいの浅い水深でも流れが急で押しが強いので、ウェーダーだと水流を受ける範囲が広くなってしまい、バランスを取ることが難しくなってしまうので、入水しても軽快に動くことができ、足元は苔で滑らないウェーディングシューズのような靴がベストです。
この場所は本流と分岐した川が再度合流するポイントで、先端が岬状になっています。
ここでもスプーンを使いましたが、本流側からルアーを流し、駆け上がりにぶつかる所で引ったくるようなアタリがありました。
こういう教科書に載っているような馬の背状の場所は魚が付きやすいと言いますが、やっぱり付いていました。
流れに乗られながら暴れる魚を引き寄せるのには結構時間がかかってしまったけど、72cm、3.5kgとまだまだ目標のメーターサイズまでは全然届きませんがなんとか釣ることができました。
丸々太ったナイスバディの両手持ちができるサイズを釣ることができて満足でした。
仕事の関係で長期で休みが取れず、たった3泊4日でそのうち車中1泊、釣りは丸2日の弾丸遠征ですが、15時間かけていく価値はあり、一番釣れるという時期に一度は行ってみたいです。
その中で皆様にすごいと言われるような1匹をお見せできればと思っています。
遠征から帰った後は疲れがなかなか取れなくてグロッキーになってしまいますが、それよりも日本とは全く違った環境でこんなにもきれいでカッコよく、パワフルな魚を釣ることができれば良い思い出になると思います。
そんな貴重な経験がしてみたいという皆様のお越しをお待ちしております。