鮒の雀焼きを作ってみた(茨城県)

鮒の雀焼きを作ってみた(茨城県)

魚類に留まらず両性爬虫類から昆虫まで探して国内外を旅する 嬉し恥ずかしの51歳。福岡県出身・おうし座。

淡水魚食文化。琵琶湖・淀川水系や海から乖離した地方が有名だが、霞が浦と利根川の流域も同様に根強く残っている。一部の淡水魚は生食として食されることもあるが、極めて稀で、殆どの淡水魚は佃煮等で濃い味付けをされ、ある程度の保存期間が維持されるように加工されている。さて、今回はとあることから目にした鮒の雀焼きという料理に興味がわき、食材捕獲から実食まで挑戦してみることにした。

 

鮒の雀焼きとは

 完成した自作の鮒雀焼き。

調理過程など後半にご紹介させていただくので、最後までご覧いただきたい。

小鮒を背開きにし、内臓を綺麗に取り除く、天日にて乾燥させた後、表面を炙る。あとは甘露煮の要領にて甘辛く煮る。出来上がったその姿が丸々とした雀の姿に似ている事からその名前が付いた。

 

 

捕獲

今回は霞が浦近郊に広がる蓮田を訪ねた。夏から秋に向けて徐々に気温も下がりだす8月終盤。蓮の花の開花時期もまもなく終え、数か月もすれば蓮根の収穫の時期がやってくる。

美しい花が咲く蓮田。

満開時期も終盤。花ビラが落ちたものが多くみられる。

 蓮田から流れ出る泥水は周囲を取り囲むほそに流れ出し、そして河川へと続いていく。

 

のどかな雰囲気を楽しみつつ、のんびりと竿を出したいところではあるが、あくまでも今回は食材確保を目的としている。水路も細いので網を水路に入れた。

 

4㎝~7㎝程の小鮒やクチボソが次々と網に入る。すぐに食材としての小鮒たちを確保できた。

 

今回の料理雀焼きには5㎝程の小鮒が最適。5㎝を大きく上回る鮒。4㎝を下まわる鮒。クチボソ達は水路にお帰り頂いた。

 

改めて観察水槽に入れて眺めると可愛い魚である。

たかが鮒とあなどることなかれ。

鮒に始まり、鮒に終わる』というではないか…

 

今回網に入った鮒はギンブナ(C.a.langsdorfi)の幼魚。

 

水路の水は蓮田からの泥で濁っていたが淡水二枚貝もしっかりと生息している。

 

調理

持ち帰った小鮒たち。バケツに入れ数日間断食していただき、泥を吐いていただく。我が家の次女が、目を盗んで金魚の餌を与え続けていたことぐらいが問題だったが、数日して泥をしっかりと吐いてくれたようだ。すっかり鮒たちに愛着の湧いた次女の目を盗んで、家族が寝静まった深夜に魚達を背開きにしていく事になった。

翌朝は幸い快晴。

泣きじゃくる次女を尻目に日当たりと風通しの良いベランダで天日干しを行い、下準備を進めて行く。

 

背開きにし、内臓をすべて取り除く。風通しの良い場所で半日干す。

 

両面天日にさらす。8月末。まだ日差しは強く半日もせず、最初の工程は終了。

 

干し終えたら表面をガスバーナーで炙っていく。食した際の香ばしさが味のアクセントになる。

 

醤油1酒1みりん1砂糖0.8のバランスで鮒を焦げないように煮詰めれば完成である。

 

さて、完成した『鮒の雀焼き』を頂く。先ず魚臭さも泥臭さも全く感じられない。ほぼ佃煮のレシピなので臭みさえなければ不味い訳がない。そして、なんとも鼻に抜ける香ばしさが心地よい。

炊きたての白米とかき込みたくなる逸品が完成した。

 

蓮根の収穫時期と同じく霞が浦周辺の米の収穫も始まる。また田園風景に逢いに行こうと思う。

魚達も新たな季節に違った姿をみせてくれることだろう。

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