今や霞が浦は外来魚天国。
ブラックバス・ブルーギルに始まり、アメリカナマズ・ハクレン・ソウギョ・アオウオと、数多くの外来魚が元気一杯に暮らしており、凄まじい新生態系が構築されている。
一方ここ数年で、霞が浦で数を大幅に増やし、50㎝程の大型の個体も見掛けるようになった外来魚がいる。それは、中国からやって来た外来魚、ダントウボウだ。
ダントウボウとは
中国原産の鯉科の魚。本場中国では養殖もされ、食用魚としても重宝されている。どういった経緯で霞ヶ浦に移入されたかは定かとなっていないが、近年、ヘラブナ釣りの外道として釣れたりと釣果が急増しており、私の様にダントウボウを釣ろうと奔走する変わった釣り人達まで急増しているとか。
釣果が集中するのは、9月・10月と霞が浦の水温が下がりだしたころに多い。この時期産卵のため接岸するのであろうか?依然、生態については明らかになっていない事が多い。
食性は植物性に寄った雑食性。狙う際はグルテンでも良いし、ミミズ、ルアー、はたまたアメリカナマズ狙いの際に、鳥のレバーに食ってきたという話も聞くほどで食欲旺盛だ。
写真を見て頂くとお判りになる様に、非常に異形の魚で、頭部から背鰭にかけての背っぱりがヘラブナを更に上回る急勾配でひし形の形状。そしてこのダントウボウは、何よりも薄っぺらで引かない魚だ。
ダントウボウを釣ってみよう
さて霞ヶ浦北部のポイント。今回は延べ竿でウキ釣りと投げ込みの2本体制。エサを延べ竿はグルテン、投げ込み釣りの方はミミズを付けて投げ込む。
延べ竿:BRECOL TENKARA 3.3
スピニングロッド:Fin-ch CANARIA 66ML
スピニングの仕掛けにアメリカナマズが2匹。やはりミミズだとそうなりますね。延べ竿の方にアメリカナマズが食ってこないのを祈るばかり。
アメリカナマズはウキが一気に沈むのに反して、ダントウボウは食いあげるような感じでウキが倒れたり、真横にスーッと引っ張られることが多い。ダントウボウのあたりはある意味判りやすい。
ウキが倒れあわせると…..
ひらひらと水中で舞う魚。あぁ!ダントウボウだ。相変わらずひかない。
釣れたダントウボウの細部を観察してみよう。
顔は小さく、吻は尖る。ひょうきんな顔つきだ。
鱗は細かく、鑢の様にみえるが実際に剥いで観ると然程小さい訳ではない。
何度観ても頭部から背鰭にかけての傾斜が凄い。
しり鰭と尾鰭に薄っすらと赤みを帯びている。これが婚姻色であろうか?もし、そうであるなら秋に産卵のために接岸して釣果があがると言う話に筋が通るのだが…
グルテンにも食ってきたダントウボウ。50cmに迫る中々のサイズ。やはり、この時期のダントウボウの釣果は、安定している様だ。
ダントウボウを食べてみよう
持ち帰ったダントウボウを捌く。中国では、人気の食用淡水魚と言う事で期待が膨らむ。腹周りと内臓に若干の臭みはあるが、致命的なものではない。
身は薄いピンクで柔らかい。身に関して言えば臭みは殆どない。
先ずはタイ料理で二品。
ガパオライスは、癖のない身がパラパラ感を演出して美味しい。ナンプラーとの相性も良い。続いてはライムの効いた魚の蒸し料理、プラー・ヌン・マナオ。腹周りに若干の臭みが残り、骨が多く食べづらいが、ふわふわで柔らかく美味しい一品。
四川料理の激辛水煮魚。
片栗粉でとろみの付いた水煮ダントウボウに、200度の油をかけて仕上げます。飛散る油と、赤唐辛子が堪らなく食欲をそそる。癖になりそうな美味しい料理だが、ダントウボウ自体が山椒と唐辛子の存在感に負けてしまい、ただの柔らかく骨の多い魚と化してしまった。総じて骨は多いが、良い意味で全く癖のないふわふわの身質。中国で人気があるのも理解できる魚だった。
ダントウボウは最大2mになると言う信じがたい話もあるが、食用として利用されない霞が浦では、数十年後2mに迫るダントウボウが数多く泳ぎ回っているかもしれない…