2019年1月、酷寒の日本とは一変、気温40度を超えるオーストラリア・クイーンズランド州へ向かった。ターゲットはアロワナの一種、古代魚サザンサラトガである。
アロワナ・サラトガとは
オーストラリアには、二種のアロワナが生息しており、東海岸近郊にサザンサラトガ、北部にノーザンサラトガが生息している。南米や東南アジアのアロワナ同様、太古から変わらぬその容姿ゆえ古代魚、そして生きた化石と言われている。
南米のアロワナと比較すると小柄ではあるが、縄張り意識が強く、自らのテリトリーに入ってくるルアーにも非常にアグレッシブに攻撃してくる特性を持つ。
口周りは非常に硬く、針掛りしづらい。キャッチに至るまで中々難しい魚でもある。
今回の釣行の舞台となるボルンバダムにおいては ライセンス保持者は、50㎝以上の個体に関しては、1日1匹のキープが許されている。
ブラジル・ネグロ水系で釣れたブラックアロワナ。刺身で美味しく頂いた。しかし、寄生虫のリスクが高いので絶対にお勧めはしない。
シルバーアロワナ・ブラックアロワナに次いで第三のアロワナであるサラトガを食してみたいという密かな企み。同行者たちには伝えず、実行に向けて着々と計画を進行させていた。
アロワナ・サラトガを狙う
先ずは食材の調達だ。早朝は日が完全に昇りきるまで、夕方は暗くなるまでの薄暗い時間が最高の時合。特に早朝は水面にライズする姿も多く見受けられる。
その薄暗い時間はトップの釣り。日が昇っている明るい時間はスピナーベイトを中心とした中層からボトムの釣りが主体となる。
何れの時間も湖面から顔を出だす大木周り。岸寄りのウイード周りに居ついていることが多く、そのポイントを中心に狙っていく。
ウイード周辺は鉄板のポイント。
湖に沈んだ大木周辺。岸際のウイード周辺よりも大型魚が居付いていることが多い。丹念に探っていこう。
湖畔には多くの野生動物や野鳥が姿をみせてくれる。
野生化した大型な牛までもが姿を現した。
ペリカンの仲間。静かにそしてゆっくりと時間が流れ、最高の雰囲気の中、釣りが楽しめる。
スピナーベイトには、サラトガの硬い口周りへのフッキング率を上げる為にトレーラフックを付けておいた。それが幸いしたのか、難なく50㎝を超えるサラトガを無事手にすることができた。
頭部と口は大きく口内には細かい歯が並ぶ。この口を使い樹上の昆虫などをジャンプして捕らえたり、小魚等を捕食する。
体表に散りばめられるオレンジ色の斑点。非常に美しくサラトガの特徴だ。
背鰭・尾鰭・しり鰭は比較的小さい。
アロワナ・サラトガを食べてみる。
ロッジに持ち帰ったサラトガを、早速調理する。
先ずは鱗を剥ぐ。大きな鱗で剥ぎやすい。手でバリバリと剥ぐことができる。サラトガの鱗に映っていた美しいオレンジの斑点。これは鱗の下の皮に散りばめられており、鱗についた斑点ではなかった。
ブラックアロワナに引き続き、生食で食すことを企んでいたが、内臓を出そうとお腹に包丁を入れた段階で、その目論見が外れることになる。部屋中に漂う強烈な淡水魚臭。非常に残念だが、火を通し調理することにした。
素材の味と風味を味わうために香草などは使わず、敢えて塩コショウのみでオーブンに入れることにした。
200度で30分程しっかり火を通す。こんがりと焼けた皮、その隙間から覗いた白身は美しくふわふわで柔らかな感じ。
さて、いよいよ実食。見た目の通り、皮はサクッとして香ばしく、その下の身も脂がのっており、ふわふわで柔らかい。あれ!意外に美味しいぞ!と思った次の瞬間、鼻に強烈な淡水魚特有の臭みが突き抜けた。
しかし、強い臭みが感じられたのは1口目だけ。2口、3口と進んでいくにつれ、気にならなくなる。臭みに慣れたのだろうか?気になることなく最後は完食に至った。特に腹周りは脂の乗りが凄く、美味しく頂ける。総称すると強烈な淡水魚臭を身にまとった上質で脂の乗った真鯛であった。
次回は臭みを消すハーブ・スパイスを用意したいものである。
同行者たちもこの臭くて美味しい魚を話題にして、宴は深夜まで及んだ。翌日はすっかり寝不足と二日酔いで釣りどころでなかったことは言うまでもない。
*この記事は2019年2月13日に掲載されたMonsters Pro Shopのリメイク記事になります。